【ハリポタ】胡蝶の夢を見る4 (ページ46)

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真っ先にスリザリンの生徒が叫ぶ。

「A・レーヴです！彼女が歯呪いの呪文をみんなに…！」

私は何も言えなかった。だって…事実だ。
マクゴナガル先生は驚いて私を見たあと、他のみんなを医務室に向かうよう指示をする。

「あなたは…私について来てください。」

中庭に取り残された私に、マクゴナガル先生が言う。
私は体が震えるのを抑えながら、頷いた。

…ああ、もしかして私が退校処分を食らうのでは？

……

マクゴナガル先生の部屋。
整理整頓された棚には、いろいろなトロフィーや写真立てが並んでいる。

「状況を説明なさい、ミス・レーヴ。」

「はい、先生。」

私は正直に起きたことを話した。
スリザリン生が下級生をいじめていたので止めに入ったこと。相手が先に呪文を向けて来たが、自分も訳が分からないうちに、周りに跳ね返していたこと。

「それは間違い無いですね？」

「…はい。」

「わかりました…。あなたは嘘を言うような生徒ではありませんし、信じましょう。それにしても……」

マクゴナガル先生は私をじっと見た。

「我々の想定よりもかなり早く、あなたの力は目覚め始めているようですね。」

私は自分の周りの時間がピタリと停止したかのように感じた。

「もうご存知かと思いますが、あなたの体にはレーヴの血が流れています。レーヴ家は最も強い魔力を持つ家系と言われています。レーヴの特殊な力を抜きにしても、公にされているどの偉大な魔法使いにも勝る魔力ですよ。」

マクゴナガル先生はスラスラとそう言って真っ直ぐに私を見た。あまりにも淡々と、信じたくない事実を並べられる。

「…」

ゴクリと唾を飲み込む。
なにも言えなかった。

「呪文を唱えることなく、ましてやよく知らないままに…その呪文を使ったのですね。レーヴ家は杖も使わず、独自の魔術を操っていたと聞きます。」

流石にそれは無いだろうと思ったが、マクゴナガル先生は冗談を言ってるようには見えなかった。先生は表情を変えず続ける。

「恐らく、盾の呪文を思い浮かべていたのでしょう？貴方は呪文を知らなくとも、思い浮かべた力が扱えるのです。」

杖が必要ない？
呪文も知らなくていい？
そんなことがレーヴには可能だっていうのか？

「はたしてどこまで…真実なのかは分かりませんが。」

「……」

マクゴナガル先生は私へ座るようにソファーをすすめると、私のすぐ目の前にお茶を出した。私は座ってティーカップに手を伸ばす。

もしそれが事実ならば…

「私はどうすれば…」

「あなたはこれから、“レーヴの力”だけではなく、自分の魔力を抑える術を身につけなくてはなりません。貴方の一族がそうして来たように…」