【ハリポタ】胡蝶の夢を見る4 (ページ44)

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隣でハンナがハラハラと私たちを見守っていた。

「ああ…またあとで声をかける。」

ドラコはそう言ってその場を去っていった。

「大丈夫なの？A、あなた泣きそうよ…」

私は急に溢れてきた涙を拭って答える。

「大丈夫…ちょっとびっくりして…」

私は食事を再開した。
あと少し、もう少しだけ時間が欲しい。

……

「Aはすごく優しくて繊細だから…きっといろいろ抱えすぎてるんだ。」

Aのいない談話室。セドリックに彼女の行き先を聞かれたハンナは今朝のことを相談していた。彼女は休み時間になった途端、ちょっと一人で考え事をしたいと中庭の方へ行ってしまったのだ。

ハンナは一人で寮に戻ってくるしかなかった。

「私、心配だわ。最近、また朝起きるのが辛いみたい
だし…いつもギリギリまで眠ってるのよ、毎回叩き起こさなきゃならないの。」

魂が抜けたような顔で目を覚ますAを思い出す。
一晩ぐっすり寝ているのに疲れが取れないみたいだ。

「きっと秘密の部屋の話で気が参ってるんだな…僕もなんとか彼女の力になりたいけど…」

そうして二人はしばらくAの話をしていたが…

「戻ってこないわ。」

もう昼休みが終わるという時間帯。
ほとんどの生徒が次の授業の準備を始めるが、彼女はいつになっても戻ってこなかった。

「どうしたのかな、流石に遅いね。」

「やっぱり私、一緒についていけば良かった…」

誰かがバタバタと談話室にやってくる。

「大変だよ、Aが…」

二人は彼女の名前を聞いて慌てて立ち上がった。

……

ハンナと別れた私は、気の向くまま廊下を歩き中庭に向かっていた。中庭には人がいっぱいいて、私は彼等を避け、人気のない端っこのベンチ選んで腰を下ろす。

頭を空っぽにして、何も考えたくない日だってある。
私はただそこに座って中庭の景色を眺めていた。

話が盛り上がっているグリフィンドール生の集団。
私と同じように1人でやってきて読書をしている生徒。
ハッフルパフの一年生がスリザリンに絡まれているのも目に入る。

「……あ」

私は慌てて立ち上がった。

「ちょっと、何してるの？」

見覚えのある後輩が困っているのを見逃せない。私は慌ててその集団に駆け寄った。ハッフルパフの一年生2人組相手に、スリザリンの上級生が3人がかりで詰め寄っている。

「……へえ、A・レーヴじゃないか。」

スリザリンの方は私より一つ上、もしくは二つ上の学年に見えた。少なくとも同学年ではない。向こうは私の名前を呼んだが、私は知らない子だ。

「あなた達、今この子に呪文を使おうとしたでしょ。下級生をいじめるなんて情けないよ？」