【ハリポタ】胡蝶の夢を見る4 (ページ43)

今日:43 hit、昨日:30 hit、合計:50,912 hit

【5-3】ページ43

私は大きな声を出し慌てて立ち上がった。
その音にマダム・ピンスが怒鳴り、私は口を押さえる。

「そうだ…“中世におけるヨーロッパ魔法使い会議”についてのレポート！」

「ええと、もしかして…貴方も忘れてたの？」

「うん、1メートルも書かなきゃいけないの。どうしようすぐに取り掛からなきゃ…ごめんジニー、話すのはまた今度で…」

ジニーは私の慌てぶりを見て少し笑っていた。

「ええ、もちろん。」

「本当にごめん。勉強以外でもなんでも手を貸すから……いつでも相談してね。」

私は慌てて静かに図書室を飛び出した。
今から書き始めて間に合うだろうか、何も進んでない。

……

ハンナに手伝ってもらいながら、なんとか宿題が終わったのは魔法史の授業がある日の朝だった。

「よかったわね。大広間に行きましょう、お腹ぺこぺこよ。」

「うわーごめんねハンナ！手伝ってくれてありがとう！」

「いいのよ。私が手伝えることってこれぐらいしかないし。それにこの前魔法薬の勉強を教えてくれたでしょ？すごく分かりやすかったのよ。」

テーブルについてスープを頬張る。疲れた後の食事はなんでこんなに美味いんだろうか。

「なあ、A。」

背後から聞こえたドラコの声に、私はびっくりして思わず皿をひっくり返した。

「ぎゃ！？」

「おい！」

背後から真っ先にドラコの手が伸びて来て、体を引っ張られたおかげで、私は熱々のスープを被ることは免れた…

「何してるんだよ！」

私はドキドキしながら深呼吸をする。

「大丈夫、A？」

ハンナが杖を振って机の上を片付けた。

「あー…ごめんね、大丈夫。」

後ろを振り返ると、そこにいたのはやっぱりドラコだった。目が合うと彼は慌てて腕を解く。

「えっと…ありがとうドラコ…私に何か用事？」

私はドラコと目は合わせなかった。
信じられないくらいに胸が苦しい。

彼は純血主義で、元々ヴォルデモートの仲間をしていた家に生まれ、マグル対する偏見持ち、過激な差別をしている。

だけどそれを抜いてしまえば、ドラコは優しくて面白い奴で、大事な友達…今だって私を庇ってくれたじゃないか。

「…いや、ちょっと話がしたい」

申し訳なさそうに微笑むドラコ。
ああ、君が心の奥底まで腐り切った嫌なやつだったら…こんな思いをしなくてすむのに……

「分かった、放課後にしてくれる…？私、やっと食事にありつけたところだから。」

一方的にそれだけ言って、私はドラコにくるりと背を向ける。ドラコの視線が全てを貫通し、直接心に突き刺さってくるようだ。

こんなふうにドラコを拒絶したくないけど、まだ彼の声が頭に響く。…穢れた血、そう叫ぶ君の声が。