【ハリポタ】胡蝶の夢を見る4 (ページ38)

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私達がパーティを見て回っていると、ニックが人込みをかき分けて近づいて来る。

「楽しんでいますか？」

「はい。」

少し遅れてみんなも頷いた。

「ハリーにミスター・ウィーズリーとミス・グレンジャーそして君は…」

「こんばんはニック。私はハッフルパフのA・レーヴです。」

「やあ、ミス・レーヴ！」

ニックがそう呟くと、その声を聞いたゴースト達が何人か振り返り私を見た…ような気がした。本当に些細なことで気のせいかもしれないけど…

「……？」

おかしな名前だっただろうか。

「よく来てくれました。」

私はぺこりとニックに挨拶をする。
しかし、私の耳はどこかで誰かが私の名を呼ぶのを聞いていた。

「…レーヴと言ったかね？」

「ああ、確かに。」

ニックを含む、ほとんどのゴーストは何も気にしてはいないみたいだったけれど…

ふと気づく。そうか、この中にはニックより昔…500年以上前に生き、そして死んでいった人達がいる。そんなゴーストの中にはもしかすると…レーヴ一族について、何か知っているゴーストもいるのかもしれない。

「あ、あのっ…」

私を見ていたゴースト達を振り返り、声を出した瞬間。

「みなさん、ご静粛に。一言、私からご挨拶を！」

私の発した声はニックによって遮られてしまい、背後からロンの声。

「僕もう我慢できないよ。」

「帰ろう。」

ハリー達三人が後退りで出口へと向かっていた。

「え、待ってもう少し…」

「何言ってるの？無理しないでいいわ。」

ハーマイオニーに手を引かれる。
私は慌てて周りを見渡した…誰か1人でも話を聞くことができたら。

「あ…」

ふと目が合ったのは全身銀色の血に塗れた…血みどろ男爵。彼は私が部屋を出る瞬間まで、じっと私を見ていた…

彼、何か知ってる。
…そう、私は直感した。

…

「あの声が聞こえる。」

すっかりあの地下牢から離れ、玄関ホールへ向かう階段を上がっている時だった。ハリーが唐突にそう言ったのだ。

考えごとをしていた私は、突然立ち止まったハリーの背中に強く顔をぶつけた。

「ハ、ハリー？」

ハリーは壁に耳を当てると、じっと目を細めて周りを見渡し始めた。

「ハリー、いったい…」

「またあの声なんだ、ちょっと黙ってて…」

私には何も聞こえない。
それはロンもハーマイオニーも同じようだった。

「ほら聞こえる！」

「ハリーにしか聞こえてないみたいだよ。」

ハリーは何か見えないものを目で追った。そしてそのまま階段を駆け上がり始めた。

「こっちだ！」

ロンとハーマイオニーは慣れっこだとでも言うように、走っていくハリーを追いかけて後に続く。私も慌ててみんなを追った。