【ハリポタ】胡蝶の夢を見る4 (ページ4)

今日:59 hit、昨日:30 hit、合計:50,928 hit

【1-4】ページ4

「そんな…でも私は知りません。みんな私が知らないうちに死んでしまったんです。誰も何も…教えてくれない。些細なことでも分かりませんか？」

私には何も残されていない。
忌々しい力だけ。せめてなにか、もう少し手がかりを…

「ああ、なんということか…」

フラメルは声を絞り出す…
私は思わず泣きそうになった。

心細い、不安、怖い。
この気持ちをなんて表現すればいいのだろう。

「確かフィガロの息子が…ホグワーツに通っておった。」

私はびっくりして顔を上げた。

「レーヴの者が学校に通うのは珍しい…まだ力をコントロールできないうちの学校生活は危険じゃ。それに学校で教わることもないくらいに…レーヴの者はすでに秀でておる。」

…もしかして、フィガロの息子というのは、私のお父さん…養父のことだろうか？この日記がお父さんの書斎にあったことを考えると、その可能性が高い。

それならフィガロさんは…私のおじいちゃん？

「レーヴの者は学校に行かん。しかし時々、レーヴから魔法学校に行くものがおるのじゃ。何か意味があったのかも知れぬな。」

「意味…？何か目的があって入学してたってことですか？それは何？」

「さあ、分からんよ。」

私はがっかりして肩を落とした。
存在が知れ渡る危険を冒し、わざわざホグワーツに通う理由…

「レーヴの血族は、力を隠し魔法界でひっそりと生きるか、魔法界を去りマグルの世界に逃げ込むか…その二択を迫られる。どこにも情報がないのも無理はない。」

落ち込む私を見て、フラメルは再び立ち上がり、戸棚の奥を漁り始めた。

「レーヴについてレーヴのみぞ知る…しかし彼らは至る所に痕跡を残しておるよ。」

何かを持って振り返るフラメルさん。

「さあ、これを持って行きなさい。」

「…これは？」

古い鍵のようだった。
すっかり錆びた古い鍵。
古いということ以外、なんの変哲もない。

「フィガロが死ぬ前に置いていったのじゃ。ずっとレーヴの者に返す機会を待っておった。」

「フィガロが…！」

同じ血、レーヴの血族…
私は初めて、自分の血に繋がる何かを手にした。

しかしそれはごく普通の鍵に見える…

「…フィガロは、いつどうやって死んだのですか？」

「ふむ、交通事故じゃった。」

「…交通事故？」

「ああ、なんでもない日、突然じゃった。」

まるでマグルみたいな死に方…
マグルの世界で生きていたのは本当なんだね。