【ハリポタ】胡蝶の夢を見る4 (ページ28)

今日:11 hit、昨日:59 hit、合計:50,939 hit

【3-8】ページ28

「本当にそう言ったのか？あいつが？」

「ええ、本当よブレーズ。純血主義者には声もかけたくないって言ってたわ。だから話しかけないで欲しいって。」

それ以降の会話が何も頭に入ってこなかった。
前からそんな気はしてたんだ…あいつがスリザリンにも気安く声をかけて回るのは…その辺の事情をさっぱり理解してないからだって。

ウィーズリーやポッターと口論になれば、いつも不思議そうな顔で慌てるし…僕の前でも構わずマグルの生活について話してきた。

そして、もしどちらかを選ぶことになったら…
Aはあいつらの手を取るだろうってことは…分かっていたんだ。

「私たちもあの子には近づかない方がいいわ。あの子は確かにいい子だけど…やっぱりマグルのところで育ったんだもの。魔法族としての品格も誇りも皆無だわ。」

なぜか上機嫌のパンジー。
その理由を問い詰める元気もなかった。

「おいマルフォイ。どこにいくんだよ。」

「どこって…寮に戻るんだ。」

「え、勉強会は？」

「お前たちでやってろよ。」

ブレーズとパンジーが顔を見合わせる。
…Aのいない勉強会に参加する意味なんて…何もないじゃないか。

……

トボトボと、一人で歩く廊下。
泣いたらダメだ…それだけを必死に考えて歩いていた。

どこからか、ギャハハと騒ぎ声が聞こえる。ああ、なんて煩わしいんだろうか。耳を塞ぎたくなった。

私は少しスピードをあげ、小走りでその声から逃げ出す。
早く静かな所に行って心を落ち着かせたかった。

「おい…逃げたぜ！」

「よし追いかけろ…！」

「先生に見つかったら…」

しかし、その騒ぎ声はいつになっても遠ざかることはなく、むしろ近づいてくるような気が…

「あ、Aだ。」

「おい、それ捕まえてくれ！」

「……？」

いったいさっきから何を騒いでいるんだろう？
振り向くと飛び込んできたのは…花火を散らす火トカゲだった。

そして、それを追いかけるフレッド、ジョージにジョーダンの3人組の姿。

「…は？え？」

私は思わず走り出した。すぐ真後ろに花火を吐き散らす火トカゲが迫ってきているのだ。

「逃げないでよ！」

フレッドの声が聞こえてくる。

「な、なんで火トカゲがここにいるの！？しかも…花火が飛び出してくる火トカゲなんて…！」

花火が私の顔の横を勢いよく飛んでいった。

「わああ！！」

私はその場に転げてひっくり返った。

「おい、今の見たか？」

「すごいな…一回転してたぜ。」

「箒に乗ってるわけじゃないのに？」

三人の笑い声に思わず怒鳴った。

「ちょっと！」