【ハリポタ】胡蝶の夢を見る4 (ページ24)

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「こんなことならずっと一人でいればよかったのに…」

魔法界のことなんて何も知らない、あの家で母に怒鳴られながら昼寝をしていた日々が懐かしい。

レーヴの力なんて…
ああ、そうだ…こんな力がなければ、ドラコの心を覗くこともなかったのに…知ることもなかっただろうに。

「…私、ホグワーツにもう居たくないよ…」

なんとか声を絞り出す。

「そんなこと言わないでくれ、A」

セドリックは私の目の前でしゃがみ込み、俯く私の顔を覗き込んできた。まるでガラス細工でも扱っているみたいな手付きで、優しく私の涙を拭う。

「僕は君に会えてすごく嬉しかったんだから。確かに魔法界には血で差別する奴らがいるけれど…それはごく一部だ。それに、僕は奴らが全員悪いわけじゃないと思ってるよ。」

「え…？」

「僕はたまたま無差別主義の家に生まれたけど、純血主義の家に生まれたらどうなってただろうって考えるんだ…」

「……」

「大丈夫、少しずつ歩み寄っていっているはずさ。君の友達も…君の気持ちを分かってくれる時が来る。」

いつかドラコもロンも、ハリーもハーマイオニーも……
血のことなんて気にしないで手を取り合う時がくるのかな？

「なんだか僕、変なことを言ったかもしれないな。」

黙り込む私に、セドリックは慌てて立ち上がる。

「ううん、すごく素敵なことを言ってたよ。」

セドリックを見上げ微笑むと、彼はサッと頬を紅潮させた。

「あの……こんな時に言うのもおかしいと思うけど、」

「うん？」

「僕、君のことが…」

その瞬間、ガタンと…ドアの外で何か音が鳴った。

「わっ！」

「…はぁ。」

セドリックはドアの方を見ると深いため息を吐いてそっちに向かった。

「おい、お前ら！盗み聞きは良くないと思うぞ！」

セドリックがドアを開けた瞬間、たくさんの人が部屋に雪崩れ込んできた。

「ええ…？」

「いつから聞いてたんだ？全く…なんのために部屋に移動した思ってるんだい？」

「いやあ、だってな…」

「セド、君がついに男を見せる時が来たのかと…」

「その呼び方はやめろ…ほら談話室に戻ってくれ。」

みんなはチラチラとこちらを覗きながら戻って行ってしまった。

「全く…」

それにしても、昨晩はしっかり薬を飲んで寝たのに…なんで力を使ってしまったんだろう。眠りが浅かった？

そもそも、なぜ寝ている時に力が発動するんだろうか。

「A、聞いてる？」

「あ…ごめん、なんの話だっけ。」

「ううん…僕の話はまた今度でいい。それより昼食の時間だ、一緒に行こう。その前に医務室に寄った方がいいな、目が腫れちゃってるよ。」

私はセドリックと一緒に談話室に戻った。