【ハリポタ】胡蝶の夢を見る4 (ページ22)

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例の言葉を言おうか…僕は一瞬も迷わなかった。
瞬間的に口から出る。

「生まれ損ないの“穢れた血”め。」

魔法族の血が一滴も入ってない劣等種。
血を裏切る者と穢れた血までもを引き連れて…本当にハリー・ポッターは嫌な奴。

「よくもそんなことを！」

グリフィンドール勢が叫ぶ。

「マルフォイ思いしれ！」

ウィーズリーが杖を突きつけてきた。だが呪文は逆噴射。
奴の方がナメクジを吐き出した。

「バカな奴！」

本当にいい気味だ…！

(いい気味？)

xxx

目を開ける…視界に映ったのはぼやけた寝室の天井。涙を拭って体を起こす。

“穢れた血”…その言葉の意味は知らなかったけれど、“夢”を覚えていた私には全て理解できていた。それがどんな意味を持ち、どう使われるのか。

そしてドラコが、どんな気持ちでその言葉を吐いたのか。
頭をよぎった言葉を口に出す…

「純血、主義…」

ドクンドクンと鼓動が大きくなってくる…なんだか吐き気がした。純血主義のこと勿論知っていたけれど、これまで私はどこか他人事だった。レーヴの生き残りになってしまった私にとって、自分の血の問題の方が重要だったから…

深呼吸をする。

土曜日だけど、部屋には誰もいなかった。
また、涙が溢れてくる…目を擦って顔を洗い、なんとか着替えて寝室を出る。

なるべく人に見つからないようにハンナのこと探したけど…彼女の姿は談話室にもなかった。

「聞いてよスリザリンのやつが…」

「またか、本当に嫌なやつら……」

普段は気にしていなかった噂話。今の私には大ダメージだった。やっぱり、皆の言うとおりスリザリンの子達はみんな意地悪なのかな…ドラコは違うんだと勝手に思ってた。

いや、きっと私が知らなかっただけ…
“力”を使ってドラコの意識を持っていた時、私は本気でハーマイオニー達のことが嫌だった。消えて欲しいとさえ思った。生まれ損ない…マグルなんて滅ぶべきだ…少なくとも魔法界に必要ない。あの感情は間違いなくドラコのものだ。

また視界が滲みだした。私は人に顔を見られないよう、慌てて寝室の方を振り返る。

「やあ、Aおはよう。」

肩を手を置かれ、私はびくりとして振り返った。

「…あ、セドリック。」

「え、…どうしたの？」

もう、泣き虫だと言われても否定できない。
それなのにセドリックは、「また泣いてるのかよ」なんてことは言わなかった。すぐに私の手を引いて、談話室の端っこに引っ張る。

「大丈夫？体調でも悪い？」

私は首を横に振る。セドリックの心配そうな顔と、声色に、私はすごく申し訳なくなった。泣いちゃダメだって分かっているのに、どんどん涙が溢れてくる。