【ハリポタ】胡蝶の夢を見る4 (ページ17)

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……

「セドリック先輩！」

そう、最初にAに呼ばれた時のことを思い出す。
彼女は入学早々、迷子になっていたんだっけ…

そんな彼女が、今年は後輩に道案内をしている立場だ。
2、3人の新入生に囲まれて、必死に教室までの道のりを説明しているAの姿があった。どうやらもう新入生の人気者らしい。

「…ええと、この道をまっすぐ行くと階段があって…動き回る階段がね？そこから上にあがるんだけど……」

身振り手振りでなんとか伝えようとしているが、後輩達には伝わらないようで苦労しているみたいだ。

あまりにも必死になっているその姿に、僕は思わず笑ってしまった。

「あー、あの階段はだめ、違うところに繋がってるの…銅像がある廊下に行かなきゃいけないんだけど…トロフィー室は分かる？……あ、いや、分からないよね、えっと…」

「呪文学の教室かい？」

彼女が目をぐるぐるしだしたところで声をかける。

「セドリック！」

彼女はそう言ってホッとしたような、にこやかな笑顔をこちらに向けてくる。僕は彼女がこの笑みを向けてくるのが好きだった。

「そうなの、呪文学の教室に行きたいみたいなんだけど…」

「君は次、温室に行くんだろう？別方向だな…僕が呪文学の教室まで一緒に連れてくよ。」

「本当？よかった…じゃあお願い！大丈夫、彼はセドリック、とても親切な人だから…」

不安そうにしている新入生にそう声をかけて、Aは去っていく。その後ろ姿はとても愛おしく思えた。

「あの…」

「ああ、ごめん…さっそく向かおう。Aが言ってた階段っていうのはあれだ。」

新入生を引き連れて呪文学の教室まで案内する。

「さっきの人めちゃくちゃ美人じゃなかった？」

「だからあの人に声かけたんだろ。」

後ろをついてくる新入生の会話には、なんだか複雑な気分だった。

「ええと、ここが呪文学の教室だよ。授業頑張ってね。」

「あ、ありがとうございました！」

新入生は丁寧にお礼をくれたが…なぜだろう、一年前のAのときほど嬉しくはない。やっぱり僕は彼女のことが…好きなのだろうか。

「今の人、めちゃくちゃイケメンだ。」

「もしかしてさっきの人と付き合ってるとか？すごくお似合いじゃない。」

「…あー、ハッフルパフに入りたかったな。」

またもや会話が聞こえてしまう。

「やあディゴリーおはよう。今日はちょっと遅かったな…って、なんかお前…顔赤くないか？風邪かよ。」

「いや、大丈夫だよ。」

自分の教室についた僕は、慌てていつもの席…外の景色がよく見える窓際の席に座った。