【ハリポタ】胡蝶の夢を見る4 (ページ14)

今日:49 hit、昨日:30 hit、合計:50,918 hit

【2-4】ページ14

夏休み最後の夜、母は仕事を早めに切り上げ、ご馳走を作ってくれた。

「A、お庭からパセリとバジルをとって来てくれる？」

「はーい。」

キッチンに立つ母の手元を覗き込むと、鮭の下処理をしていた。鮭の香草焼きだろうか。

大好きなメニューにワクワクしながら外を見出ると、外はもう暗くなり始めていた。庭はどこかハーブやお花のいい匂いがし、以前よりも植物の種類が増えたようだった。

「バジルとパセリだよね？」

小さな札に書かれた文字を確認し、言われた通りにバジルとパセリをプチプチと適当に見繕って母の元に戻る。

「はい、お母さん。これでいい？」

「ええ、あとはスープを作って完成よ。お手伝いしてくれる？」

「もちろん、鍋をかき混ぜるのは魔法薬学で鍛えられたからね。」

今日が終わって、明日汽車に乗ってしまえば…また今度母と会うのはクリスマス休暇だろうか。

「お母さん。」

「んー？」

私はそう、母の名前を一言呼んだだけだ。
それだけで母は全てを察したのか、手を止めると私の頭を撫で、そしてぎゅっと抱きしめた。

「…………」

私は母の背中に手を回す。

レーヴだなんてどうでもいい。
目の前にいる母さえいれば…もう、私の力のことなんてどうでも…そう、全てを切り捨ててしまえば楽だろうけど…

目を閉じると、父の死に顔が脳裏を過ぎる。

…

次の日、私はキングズ・クロス駅に向かっていた。

「行ってきます。」

九と四分の三番線。
母とはそこで別れる……

「行ってらっしゃい。頑張って。お母さん、いつでも帰ってくるのを待ってるからね。」

柵を通り抜ける瞬間、母の言葉に思わず涙が出そうになった。しかし、魔法使いの溢れるホームまで来てしまえば、センチメンタルな気分もすぐにどこかへ飛んで行く。

「おい、これ誰の猫だ？」

「久しぶり！元気にしてた？」

「どうしよう教科書を忘れたかも…」

なんて色々な会話が四方八方から飛んでくる。
私はとりあえず荷物を列車に運ぶと、少し周りを見て回ってみた。ハリーとか、ロンとか、ハーマイオニーとか…友達と会えたらいいんだけど、

「あ、ハンナ！」

私はハンナ・アボット…同室の友人を見つけ、嬉しくなって駆け出した。

「あら、A！久しぶり。」

「わあー！！ハンナ会いたかった！」

ハンナは喜びながらも困惑している。

「どうしたの？涙目だけど…」

「うん、実はお母さんと別れる時にちょっと泣いちゃったんだ。誰かに見られたら絶対馬鹿に…」

彼女にだけこっそり暴露したつもりでいると、彼女の背後にセドリックがいることに気がついた。

「…セドリック？」

「やあ、えっと…久しぶり。」