【ハリポタ】胡蝶の夢を見る4 (ページ13)

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すっかり落ち込んでしまった私たちは、漏れ鍋に向かった。ウィーズリー家とハリーは煙突飛行の用意をする。

「A、あなたはどうやってここにきたの？」

と、重い空気の中聞いてきたのはハーマイオニーだった。

「えっと、煙突飛行…で行ってみたかったけど、電車で来たよ。ほら、マグルの地下鉄…母さんが駅まで送ってくれたんだ。」

うっかり本当のことを言いそうになるが、私は慌てて嘘をついた。「どの家から？」「どうやって煙突飛行粉を？」なんて聞かれれば説明が面倒だ。

「そう…私達もマグルの方法で来たわ。一緒に駅まで行きましょうよ。」

おまけにハーマイオニーの家に泊まってるなんて嘘を吐いて来てるのだ。…やっぱり嘘を吐くのは苦手。たとえ害のない嘘だったとしても、罪悪感で胸が押しつぶされる…

「ハリーはロンたちのお家にお邪魔してるんだってね。」

私は話題を変えハリーに話しかけた。

「ああ、そうだよ。」

「新学期までロンのところにいるの？」

「うん、そのつもり。ロンの家ってすごく楽しいよ。」

ハリーがそう言って、ロンは照れくさそうに笑っている。確かに魔法使いの家ってどんなものだろうか、想像するだけで私までワクワクした。

そうしてハリーとウィーズリー一家と漏れ鍋で別れ、ハーマイオニー達家族と一緒に駅に向かう。グレンジャー夫妻は疲れ切っていた。気持ちはよく分かる。

「…ねえ、A？」

暗い窓の外、電車に揺られながら窓ガラスに反射した自分の姿をなんとなく眺めていると、ハーマイオニーが言った。

「…本当は煙突飛行粉で来てたんでしょう？」

「え？」

大真面目な顔でそう聞かれて、私は戸惑う。

「いや…電車できたよ。」

驚きを隠せないままなんとか声を出すが、彼女ははっきり首を振った。

「嘘よ、あなたが煙突飛行粉のことを知ってるはずないもの。あなた、こういうのには疎いでしょ。」

「う、失礼な…」

的を得た指摘に思わず狼狽える。

「それに答える時に目を逸らしたもの。あなた嘘を吐くのが下手よ。」

「……」

さすがハーマイオニー…

「あー、実はそう…煙突飛行で来たの。知り合いが教えてくれて……」

「知り合い？もしかして親戚の人を見つけたの？」

私は何も言いたくなかったけれど、ハーマイオニーがこちらをじっと見るものだから口を開くと言ってしまいそうだ。

「ううん……ええと、その、説明が難しいというか……うん、あーそう秘密ってことで。」

私はそれ以上何も言うまいと、黙って顔を背けた。

「まあ…無理には聞かないわ。」

…フラメルの家で飲んだ紅茶の味を思い出す。
たった一回飲んだだけなのに、なんだかその味が恋しい。