【ハリポタ】胡蝶の夢を見る4 (ページ2)

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そしてパリ旅行の日。
私は母に嘘をついて、駅まで送ってもらった。駅まで行けば、ロンドンとパリを海峡をまたいで結ぶ鉄道がある。罪悪感がちくりと胸を痛める…だが、母にどう説明すればいいのか分からない。

「何かあれば電話して。仕事を抜けられるよう頼んであるから。」

送ってくれた母に礼をいい、事前に調べ尽くしておいた列車に乗り込む。母には悪いが秘密の遠出は心が躍る……同時に不安でもあった。…ホグワーツに行くのとはわけが違う。

完全にひとりぼっちで出かけるのは初めてかもしれない…だけど、レーヴのことを知るチャンスかもしれないと思えば…何も苦ではなかった。

(ニコラス・フラメルはどんな人なんだろう。)

そんなことを考え、例の日記読みながら静かに過ごしているとあっという間に駅に着いた。列車を降りると小腹が減ったので、駅のカフェでガレットを買いお腹を満たす。

…パリに来るのは初めてだ。時間があればゆっくり観光もしたいところだが、あいにくそんな時間はない。

メモに残した住所を目指して、私は歩き始める。
幸いそう遠くないみたいだ。この街の少し外れに、フラメルの家がある。

…

「…ここだ。」

ドアは開いていた…私は一応ノックして中を覗き込む。
薄暗く、気味の悪い雰囲気だった…誰も住んでなんかいないんじゃないかと思うほどに。

「あの、ニコラス・フラメルさん？」

私の声だけが響いて、すごく緊張する。
ホグワーツでも見たことない物で部屋は溢れていた。

「よく来たのう。」

そう言ってその暗い部屋に現れたのは……まるでゴーストのような…年老いた魔法使いだった。

「ここに食べ物はないのだが…お腹が減ってはいないかね？」

私は一つ息を飲み込んで返事をした。

「…ええ、お構いなく。あなたが、ニコラス・フラメルさん？私、Aです。A・レーヴ。あなたに手紙を送りました。」

「ああ、待っておったよ。食べ物はないがお茶を淹れよう。さあ、こちらへ。」

私はドキドキしながら彼の家に足を踏み入れた。
ニコラス・フラメルは、私に座るように言うと、奥の戸棚からティーポットとティーカップを取り出した。

「さあ、どうぞ。」

「…ありがとうございます。」

私は濃い色の紅茶を一口飲み込む。
色の割に味が薄いようだが、どうでもいいことだった。
聞きたいことは山ほどある。彼は…もし私が賢者の石の存在を知らなくとも…300年は生きているんじゃないかと疑うような風貌だった。

「早速ですが、これ……」

私はドキドキしながら鞄からあの日記帳を取り出した。