【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ10)

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ルーピン先生は私の肩を強く掴み、鋭い視線を向けながら言い聞かせるように訴えた。

「いいかい？普通の犬は、君の家からここまで追いかけて来れるはずがない…君も分かってるだろう？」

「…先生、」

「その犬はただの犬じゃない。」

「でも…」

明らかに普通の犬じゃない。

先生の仰ることは勿論理解できるし、その通りだと思う。

「でも、別に害はないし……それに、多分、…その私の家には…」

あの犬にはレーヴとなんらかの関係があるんです。
私にしか姿が見えない不思議な梟のように。

私の家…レーヴのことを知らない相手に、そんなことを言っても分かってもらえるはずがない。この直感を先生にどう説明すればいいんだろう…

必死に言葉を探していると、ルーピン先生はまたもや予想外のセリフを吐いた。

「いいや、これは断言できる…あの犬は君の血筋には関係ない。」

…

頭が真っ白になった。

「…いったいなんの話、ですか？」

「君は疑っているんじゃないかい？あの犬は自分の家と何か関係あるんじゃないかって。だがレーヴ家とは全く関係ないんだよ。」

ルーピン先生がまさか私の家のことについて言及するなんて思ってもいなかった。隠し通路のことだけじゃなく…誰も知らないと言われているレーヴのことまで口にするとは。

「知って…るんですか…？」

なんとか声を絞り出す。

「…ああ、君の血筋が特別で…あの人に狙われているということはね…私はそれしか知らないよ。」

「それなら、それだけでいったいなぜ断言出来るんです？」

先生が何か知っているのなら、何か関係しているのなら、隠さずに教えてほしい…。先生は何かを覚悟して観念したように深く息をつくと、ブラックの毛をぎゅっと握り締めて言った。

「私はこの犬について、よく知ってる。」

先生は杖を出し、風を起こすと一瞬で私のローブの汚れを払う。

「…ともかく、もうその犬に近づいてはいけないよ。さあ、寮まで送ろう。」

まだ色々聞きたいことはあったけど、ルーピン先生はそこで話を終わらせてしまった。

「お腹が減っているんじゃないか？チョコレートでよければ食べるかい？」

「あ…ありがとうございます。」

…

あの犬と先生は何か関わりがあるのかな？
闇の魔術に関わるもの？

それともあれは死神犬…グリムだから近づいてはいけない。
そんなことを言いたいのかな？

ぐるぐると頭を悩ませて、やっとベットに入った時。
その時になって私はやっと気づいた。

「…レーヴの指輪がない。」

スネイプ先生に付けてもらってから一度も外したことがないあの指輪が、薬指から消えていた。