【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ49)

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「なんだあれ、当てつけか？」

フレッドは飛び込んでくるブラッジャーを無視して、ピッチの端で二人楽しそうにキャッチボールをしているAとセドリック・ディゴリーに睨みを利かせている。

最初にAがピッチに入ってくるのを見た時、双子は歓喜した。彼女が僕らの応援に来てくれた…そう練習に気合が入ったところで、ハッフルパフのキャプテンがAの後を追ってやって来たのだ。

双子に加えハリーの集中力は完全に切れ、彼らの意識は下ばかりに向く。そしてその度にウッドの怒号が飛んできては、スタジアム中に彼の声が響くのである。

フレッドとジョージは痺れを切らして言った。

「オリバー、あれいいのかよ？」

「他寮の生徒がピッチにいる。」

作戦や練習方法が他寮に漏れることを恐れているウッドが、あの二人に何も言わないなんて…ジョージはウッドに訴えた。

「ああ、大丈夫だ。事前に話は聞いてる。才能ある後輩にクィディッチを教えたいらしい。」

ウッドはAがセドリックの投げるクアッフルを上手くキャッチし、コントロールよく投げ返す様子を見て一言呟く。

「確かに筋がいいな。小柄で箒の腕もいいようだし…シーカーもいけそうだ。」

「僕らのチームの偵察かもしれないだろ。」

「それに僕らの作戦を盗み見してスリザリンに情報を流すかも。」

あの二人に限ってそんなことがないことはフレッドもよく分かっていたが、ウッドが彼らをスタジアムから追い出すことを期待してそう言った。

「…まあ、大丈夫だろう。奴は信頼できるし誠実さだけは一番だ。さあ、それよりも練習を再開するぞ。時間はない。スリザリンの対策に新たな戦略を考えて来たんだ。ハリーはちょっとこっちに来てくれ。」

「う、うん。」

ハリーは双子が妙にAを気にすることに嫌な予感を抱きつつ、もう数日後に控えた試合を思い出し練習を再開した。

……

しばらくすると、練習を続けていたグリフィンドールチームの選手たちが降りて来た。休憩だろうか、ウッドの「10分後に再開だ。」と言う声が聞こえて来る。

「僕たちも少し休もうか。」

「うん。」

箒から降りて地面に足をつける。
すると、真っ先にハリーが駆け寄って来た。

「A！」

「ハリー、練習お疲れ様。」

「あ、ありがとう…じゃなくて、もしかして君も選手になるの？」

ハリーはセドリックと私を交互に見た。
セドリックはキャプテンだし、チームの新人を教育しているように見えたのかもしれない。

「あはは、違うよ。ただセドが私のために時間をくれただけ。」

「でも僕は真剣に勧誘したいと思ってるよ。」

セドリックは真面目な顔でそう言った。