【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ47)

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「これがクアッフルだ。」

「思ったより大きんだね。」

革製の赤いボール、これがクアッフル。
いつも観客席から見るクアッフルはもっと小さく見えた。

「今日はこれでキャッチボールをしてみないか？チェイサーの動きを体験できると思う。」

「うん…でも、本当にいつもこのボールを使ってるの？」

それはとてもキャッチボール向きの大きさに思えなかった。箒に乗りながらということは両手は使えないし…
片手でそのクアッフルを掴んで投げてをするのを想像して自分の手を見下ろした。

ボールこの手の2倍くらいあるだろうか？
持つことはできるだろうけど…

セドリックははたと気づいてクスクスと笑い出した。

「な、なんで笑うの？」

「ごめん、説明してなかったね。クアッフルには誰でも片手で握れるように呪文がかかってるんだ。」

「あ、そっか…」

そういえばセドリックに勧められた本にそういえばそんなことが書いてあった。私は心配しなくていいことを心配していたらしい。

「早速、実際にやってみよう。」

箒にまたがるセドリック。
私も彼に続いて数メートル飛び上がった。

「よし、高さはこのくらいにしておこう。さあ、投げるよ。」

私は腹を決めて頷いた。
仮に私が落ちたとしてもこの高さなら骨を折るぐらいだ。

セドリックは弧を描くように優しくボールをパスしてくれた。その場から動かなくとも、真っ直ぐに私の手元まで飛んでくる。

「す、すごい。セドってコントロールもいいんだね。」

難なくボールをキャッチした私は驚いてセドリックを見た。
セドリックはシーカーだし、普段クアッフルを投げているところを見たことがなかったけど…さすがハッフルパフのキャプテンだ。

前年に比べてかなりチームを強化したと噂になっていたし…私が思っている以上に優秀な選手だったんだ。

「そんなに見つめられると…照れるよ……」

パッとセドリックが顔を逸らす。

「あ、ごめ…ただすごいなって思って、その…」

無意識だった。
私も慌てて目を逸らす。

しばらくしてセドリックが笑う。

「これじゃキャッチボールにならないな。ごめん、再開しよう。」

「うん、えっと、投げるね。」

私が投げ返したボールは思った通りの動きをしてくれなかった。

「悪くない、選手になれるよ。」

「本当に？」

「ああ、まだ始めたばかりだけど、本当に向いてると思う。」

…