【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ46)

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この頃の悪天候が嘘みたいによく晴れた日。
私はスタジアムの端っこで箒を持って立っていた。

この状況を説明するには昨日の晩まで遡る。
レーヴとルーアンの関係、魔女狩りと称したマグル大虐殺の真相は何か…と、手がかりを探すためしばらく必要の部屋にこもっていた時だった。

重い扉が開き、セドリックが顔を出す。
ちょうどレーヴの名の彫りが入ったトランクを漁っていた私の、それはもう酷い顔を見て、彼は息抜きに別のことをした方がいいと…前々から計画してくれていたクィディッチに誘ってくれたのだ。

「ごめん、遅くなった。」

セドリックがクィディッチ用のローブに身を包み、こちらにかけてくる。右手には箒、左手には使い古されたボックスを抱えている。

「大丈夫。でも、いいの？競技場はグリフィンドールのチームが使っているみたいだけど。」

ピッチの上空に、真紅のローブがはためくのが見える。

「ああ、ウッドに許可は貰ったんだ。個人的に練習をさせてくれって。」

先ほど競技場に足を踏み入れた時にウッドから釘を刺された。“ここで見たことは絶対にスリザリンの連中に漏らすな、絶対だ”と。背後にいたハリーが何か言いたげに私を見ていたが、ウッドに引きずられるようにピッチに入っていった。

今もまさにウッドの熱がこもった怒声が聞こえてきている。

“おい、フレッド…よそ見をするんじゃない！”

「そうなんだ…そういえば他の皆は？」

確かハッフルパフチームの練習も兼ねて、私にクィディッチを教えてくれるとか。セドリックの背後には、ハッフルパフチームのメンバーどころか、誰もいない。

「それが…今朝になって何故か全員してやっぱり行けないって言い出したんだ。まあ、僕らの練習日は今日じゃないし…仕方がない…」

セドリックは気まずそうにそう言った。
もしそれがグリフィンドールならば、絶対に許されないだろうに。上から声が降って来る。

“なに？ちょっと抜ける？何を言ってるんだジョージ。せっかくの練習日和に何を言ってるんだ…ハリー、下を見過ぎだ！”

「変な気を、回したのかも知れないけど…」

セドリックがボソリと呟いた。

「変な気？」

「いや、なんでもない。そういう訳で…今日は僕と二人だ。嫌かい？」

私は首を横に振る。むしろ、いきなり選手に混じるのも気が引けるしちょうどいい。

「ううん、平気だよ。実はいきなり試合は少し不安だったんだ、あんまり飛行に自信ないし。」

「よかった。大丈夫だよ、授業であんなに上手に飛んでたじゃないか。」

セドリックは微笑んでボックスを開いた。