【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ40)

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呼び止められた理由には心当たりがあった…先生はいつも通りの様子に見えるけど、なんだか嫌な予感がする。

ハンナが教科書をカバンに押し込みながら微笑む。

「私、教室の外で待ってるわ。」

「ありがとう、でも大丈夫だよ。…なんだか長くなるような気がするから。」

「そう？分かったわ。」

彼女は頷くと、また別の生徒を捕まえてシリウス・ブラックについて話し始めていた。そんな彼女達が教室を出ていくのを眺め、緊張しながら先生の元に近づくと、案の定ルーピン先生の顔から笑顔が消えた。

「なぜ呼ばれたか分かるかい？」

誰も疑問に思わなかったようだけど、ハンナの話はなぜか私が玄関ホールの扉を開けたところから始まる。なぜ扉を開けたのか？何のために？と誰も指摘しなかった。

だけどルーピン先生には察しがついた筈だ。
私がわざわざハロウィーンパーティの途中に、校舎の外へ出ようとした理由が。

「…すみませんでした。」

「そう言ってくれるということは、昨日玄関ホールの扉を開けた理由はそういうことだね？」

私は先生の顔が見れず、俯いたまま「はい」と小さく呟く。

「…そうか。どうして約束を破ったんだい？」

約束を破っただなんて、そんなつもりなかった…なんてことを言うつもりはなかった。それに約束を忘れていた訳でもない。

「きっと私が何を言おうと分かって貰えないんだろう。」

ゆっくりと顔をあげると、先生は酷く落胆した表情で私を見下ろしていた。それを見た私は申し訳なさと罪悪感でいっぱいになる……私はこんなにいい先生を裏切ったのだ。私はルーピン先生の信頼を失った。

私は何も言えなくなってしまって、目の奥から込み上げる涙を堪えていた。私が泣いていい場面じゃない。

「…それで。大丈夫だったかい？ハンナの話によると…君の真後ろに奴が居たらしいじゃないか。」

悪いのは確実に私なのに、ルーピン先生はそう言って私の頭を撫でる。なんとか堪えていた涙が溢れて来た。

「ごめ…な、さい…」

泣き出してしまったことの申し訳なさで更に涙が出て来る。こうなるともう止まらないだろう。

「ご、ごめんなさい…！」

私は言い訳をするように謝罪の言葉を繰り返した。考えないようにしていたけれど、私はルーピン先生の約束を破ったどころか、あの凶悪犯を校舎に入れてしまうところだったのだ。ハリーを危険に晒したのだ…

「…分かってくれればいいんだよ。君が飢えた犬1匹ほっとけない性格なのは分かってるしね。」

先生は私が泣き止むまで、ぎこちない手つきで私の背中をさすってくれた。その間、先生は何度も何かを言いかけては、小さく息を吸い込んでいた。