【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ39)

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「え……？」

周囲がざわつき始める。ハッフルパフの生徒に指示を出していた監督生のセドリックが、私たちに気付いて寄って来た。周りがじっとハンナに注目する。

「どうしたんだ？」

「私見たの、あれはきっとシリウス・ブラックだったんだわ！」

ハンナが真っ青な顔で話を続けた。
その声が聞こえたのか、パーシーもすっ飛んでくる。

「その話は確かかい？」

セドリックとパーシーは真剣にハンナの話を聞き取った。

「Aの後ろに真っ黒な影が現れたの…よく見たらそれは人だったわ。長い髪…シリウス・ブラックの手配書とそっくりよ！」

「ま、まさか…」

さっきハンナが叫んだ時、私の真後ろにシリウス・ブラックがいた？私は身体を硬直させた。

「さっきのことだね？ハロウィーンの宴が終わる前、玄関ホールで…」

セドリックの問いにハンナは震えて頷いた。

「そうか…先生方に報告しないと。」

セドリックはゴーストの姿を探しに行き、パーシーは詳しい話をハンナに求めた。皆の視線がこちらに向いている。

「Aが玄関ホールの扉を開けて外を覗いている時、後ろから声をかけたの。その時よ…黒い影が近づいて来たわ。最初はディメンターだと思ったのよ、見間違えだと…でも確かにあれは……」

ギャーっと誰かが悲鳴を漏らす。

「分かった、もういい。さあ、みんなおしゃべりはやめて！何かある人は僕に声をかけて！」

パーシーが更にざわつく生徒たちを必死に抑え、やっと大広間は落ち着き始めた。

私は混乱の中、寝袋に入り込む。
ハンナの証言で私は寝ようにも眠れなかった。恐らくそれは私だけじゃないだろう。

……

次の日、校内の安全が確認されたらしく、生徒たちは目を覚ますと各寮に戻された。

シリウス・ブラックを見たというハンナはすっかり話の中心になっていた。寮でも授業中でも、きっとシリウス・ブラックは低木に変身できるんだろうとかそういう話で議論を交わしている。

「でも、なんでグリフィンドール寮なんかに行ったんだろう？行ったところできっと誰もいないだろ？」

「昨日がハロウィーンだってこと忘れていたんじゃないかしら？あとで思い出して、大広間に向かう途中だったのよ。」

「じゃあもしだよ。ハンナがその時に気が付かなくて、シリウス・ブラックが侵入して来たら…」

私たちの話題はすっかりシリウス・ブラックのこと。ほとんどの人はハンナの話を聞いてシリウス・ブラックばかりに注目していたが、“彼”は違かった。

「水魔も面白かっただろう？さて授業はこれで終わりだ。」

ルーピン先生は教科書を閉じて言った。

「ああ、Aは残って、話がある。」