【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ38)

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……結局、ブラックは見つけられなかった。ルーピン先生との約束があるし、これで良かったのかもしれない。

まもなくハロウィーンのパーティは終わりを告げ、解散の時間となった。テーブルの上から料理は消えてしまい、私はすっかり沈み込んでいるハンナを連れて寮に戻る。

ホグズミードのこと、ハロウィーンのこと、みんなはずっとその話をしていた。しばらくして、大慌ての監督生が、パーティの興奮が治らない生徒達に向けて叫ぶ。

「みんな大広間に集まって！例外なく全員だ！」

パーティが終わってそれぞれ寮に戻ったはずの生徒達は、その数十分後、すっかりそろって大広間に戻って来ていた。全員が揃っていることを確認し、マクゴナガル先生とフリットウィック先生が大広間の扉を全部締め切ってしまう。

「教師全員で城の中を捜索せねばならん。」

と校長先生が仰った。

「気の毒じゃが今夜はみなここに泊まることになろうの。監督生は入口の見張に立ってもらおう。首席の二人にここの指揮は任せようぞ…何かあればゴーストをわしの伝令に使うがよい。」

私たちは顔を見合わせた。

「ここで寝るってこと？」

「いったい何があったんだ？」

生徒たちがざわつき始める。

「さて、ぐっすりとおやすみ。」

ダンブルドアはそう言い残し、紫色の寝袋を床いっぱいに敷き詰めて大広間を出て行ってしまった。残された皆が不安そうに首を傾げる中、グリフィンドールの生徒の一人が大きな声で喋り出す。

「シリウス・ブラックだ！シリウス・ブラックが現れた！太った婦人が襲われたんだ！」

先生達やゴーストの慌てた動き、それにポルターガイストのピーブズが同じようなことを言って生徒の不安を煽っているので間違いないらしい。

たちまち大広間は大騒ぎになって、とても“ぐっすりとおやすみ”とはいかなかった。

「シリウス・ブラックってあの？」

私はハリーの姿を探した。
ハリーは無事だった。隅の方でロンやハーマイオニーと顔を突き合わせている。シリウス・ブラックがホグワーツに来たなんて……狙いはハリーぐらいしかない。それともただ無差別に…？ゾッと寒気がした。

「みんな寝袋に入って！消灯まであと十分！」

大声で指示を出しているのは首席のパーシーだった。ロンのお兄さんの一人。私は不安になりながら、震えて動けなくなっているハンナの分まで寝袋を掴む。

「大丈夫だよハンナ、すぐ解決するはずだから……」

「…やっぱりあれはシリウス・ブラックよ！」

やっとハンナが口を開いたかと思うと、シリウス・ブラックの名を口にした。