【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ36)

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飾られた大広間にはすでに料理が並んでいた。パンプキンパイの匂いに心が踊る。ハンナと合流した私はジャックオーランタンの飾り付けを眺めていた。

「何気に初めてのハロウィーンパーティだ。」

信じられない量の生きたコウモリが大広間の天井で羽をばたつかせている…この光景を見るのは今年が初めてだった。

私たちは席に座りパーティの始まりを待った。

「ホグズミードはどうだったの？」

ソワソワと料理が並ぶのを待っていると、ハンナが聞いて来た。

「ハニーデュークスに三本の箒、お腹いっぱいだよ。」

正直、ハロウィーンのご馳走を食べれるか不安だ。

「私達はマダム・パディフットの店でお茶を飲んだの。Aも見た？行ってないなら次回は行くべきよ。」

「へえ、まだ行ってない場所がいっぱいあるみたいだね。」

ちょうどその時、ハリーとロン、ハーマイオニーが横に並んで大広間に入って来るのが見えた。…ハリーはなんだか考え込んでいるようにも見える。ロンたちがハニーデュークスで買ったお菓子を渡してくれたはずだけど…あまり気に入らなかったかな？不安になりながらハリーを見守っていると、ハンナは何を勘違いしたのか、揶揄うように言った。

「そんなに見つめないでも彼はこっちに来るわよ。」

私はそれからハリー達の背後にセドリックの姿があるのに気がついた。彼女のいう通り、セドリックは真っ直ぐにこちらへ向かって来る。

「やあ、二人とも。ここに座ってもいいかな？」

「勿論。」

私が答えるとハンナはにこにこと私を見た。

「な、なんで笑うの？」

「セドリックが来るのを待ってたでしょう？」

「えっ」

私の代わりにセドリックが声を漏らし、サッと赤面した。そうなるとこっちまで恥ずかしくなる。

「ち、違うけど…」

これじゃあ否定しても肯定に見えるだろう。
実際、本当にそういうわけじゃ無いのだが、わざわざ説明する方が恥ずかしかった。

それにセドリックはしばらくすると目を伏せる。

「いや、分かってるよ。そういうわけじゃないんだろう？」

「え…？」

「君は…」

しかし、セドリックが口を開いた瞬間、パーティが始まった。テーブルの上には金色の食器に盛り付けられた食事が並び、大広間は一気に盛り上がった。

ポークチョップに皮付きポテト。ローストチキンにビーフシチューと茹でたにんじんやビーンズ。デザートにはかぼちゃのタルトやパイ、ジャムドーナツや山のようなフルーツにアイスクリームのタワー。

先ほどの満腹感はどこに行ったのか。素晴らしい食事の数々…いくらでも食べれそうだ。