【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ33)

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「もしかして、セドリックのこと好きじゃないの？」

「ああ。」

セドリックは割と誰からも好かれる人気者タイプだと思うが…それにフレッドも人付き合いが得意そうに見えるし、彼らの仲が険悪だなんてなんだか意外だった。

「どうして？」

やっと座った新しい席は、セドリックの影すら見えない奥の席だった

「それは…ライバルだぞ？しかもあんなノロマときた…！」

そこで私の頭をよぎったのはクィディッチだった。二人ともクィディッチのいい選手で同級生。ライバル意識を持っていたとしてもおかしくない。

「セド、いい人だよ。今度少し話してみたら分かると思う…」

「ああ、あいつの話はやめてくれよ！」

フレッドは右手で私の口を塞ぎ、じっとこちらを見た。
そして少し悲しそうに目を伏せると、ゆっくりと立ち上がる。

「…ジョージを探して来るよ。結構奥に来ちゃったし見失ったかも。君はここにいてくれ。」

フレッドは席を立ちジョージを探しに行った。
いったいなんだっていうんだ？

仕方がなく大人しく待っていると、しばらくして二人が並んでやって来る。こう見ると本当に2人はそっくりで、フレッドが少し不貞腐れた表情をしていなければ見分けが付かない。

「なんかあったのか？」

ジョージは大きなジョッキを机の上に置いた。

「さあ…？」

首を傾げると苦々しそうにフレッドが答えた。

「ディゴリーに遭遇した。」

さすが双子。それだけで全てが伝わったのか、ジョージは眉を顰め納得して椅子に腰掛けた。

「そりゃ最悪だ。」

「なんで？」

「まあ、飲んでみろよ。これがバタービールだ。」

ジョッキには泡立つ熱いバタービールが注がれている。確かにすごく美味しそうだ…我慢出来ない。二人に囲まれてジョッキに口をつけると、喉を通って行くバタービールがポカポカと体を温めてくれた。

「すごく美味しいね！こんなに美味しいもの初めて飲んだ。」

フレッドとジョージはお互いの顔を見合わせながら笑みを浮かべていた。そうこれは…また何か企んでいる顔だ。

「ほら見ろ、可愛いやつだ！」

フレッドは私の肩に手を回して言った。
ジョージはそれに頷いて、私の口に手を伸ばす。

「A、口の周りに泡がついてるぜ。」

彼は親指で私の口の端を拭うと、声を押し殺して笑った。

「言ってくれれば自分で取るのに。」

フレッドとジョージもバタービールに口を付けた。バタービールの泡の髭までそっくりな二人の顔を見て私は思わず笑ってしまった。

「すごい、それってわざと？」

笑い転げる私に2人は不思議そうに顔を見合わせ、そのうち彼らも笑い始めた。