【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ29)

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Aは多分、レーヴという一族に流れる…力を持った“血”を恐れている。

ルーピンはハリーの様子を眺め、口を開いた。

「ハリー、君は…」

ドアをノックする音でルーピンの話が中断された。

「どうぞ」

ドアが開いて入ってきたのはスネイプだった。スネイプはハリーの姿を見つけると目を細め、机の上に置かれたクッキーの紙袋を見て目を見開いた。一方でルーピンはスネイプを笑顔で迎える。

「ああ、セブルス。どうもありがとう。机に置いていってくれないか？」

スネイプは煙を上げているゴブレットをおき、ぐるぐると疑わしそうに目を走らせた。

「ちょうどハリーに水魔を見せていたところなんだ。」

ルーピンは楽しそうにそう言ったが、スネイプの聞きたいことはそれだけではないようだった。

「…それは結構。」

スネイプは水魔には見向きもせず、Aのクッキーをじっと見たあと顔を上げる。

「一鍋分を煎じた、もっと必要とあらば。」

「多分、明日また少し飲まないと。セブルス、ありがとう。」

にこやかに礼を言うルーピンと、にこりともせず部屋を出て行くスネイプ。

ハリーの頭には色々なことがぐるぐると駆け回っていた。

Aはなんで僕にクッキーをくれたんだろう？
どうしてルーピン先生にも渡したんだろう？

ルーピン先生がスネイプなんかの薬を飲む理由は？
スネイプはルーピン先生をどうするつもりだろう？

それから、ルーピン先生はAのことをどうして聞いて来たんだろう？
さっき言いかけたことは何？

……

ハリーへのお土産も選び終え、私たちはハニーデュークスを出た。買ったばかりのキャンディやチョコレートを食べながら街を歩く。

「ハニーデュークスって最高…」

ロンはうっとり顔でそう言った。

「次はどこに行く？」

「私、ダービシュ・アンド・バングズに行ってみたいわ。」

ロンは立ち止まって言った。

「その前にゾンコに行こう。ここだよ。」

ロンはハニーデュークス同様、混んでいる店の中に入って行った。ハーマイオニーと私も後に続く。セドリックに教えてもらった情報によると、確かここは悪戯専門店のゾンコだ。店の敷地を跨ごうとした瞬間、肩を叩かれて振り返る。

「ああ、フレッドとジョージ。」

二人は軽く挨拶をすると、私の手を引っ張り店内に入る。

「どっかで会えると思ってたんだ、俺たちのおすすめを教えてやるよ。」

フレッドは嬉々として言った。

「クソ爆弾なら買わないよ。」

「ああ、ちょうど買い溜めしに来たんだ。」

双子が愛用しているゾンコの商品といえばそれだ。
フレッドは思い出したように頷いた。