【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ27)

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……

ハリー・ポッターはひとり、大理石の階段を登りながら後ろを振り返る。ゾロゾロと玄関ホールを去って行く生徒達の中にロンとハーマイオニーに挟まれるAの姿を見つけた。

こうして三人の後ろ姿を見送るのは、なんだか不思議な気分だった。

ホグズミードのことは考えず、ポケットにしまったお菓子のことを考えることにしよう…Aが作ってくれたクッキーだ。ハリーがポケットの中から小さな紙袋を取り出すと、そこにはAの文字で“ハッピーハロウィン！”とメッセージが一言。隣には歪なかぼちゃのイラストが添えてあった。

ハリーは思わず笑いを溢した。
じんわりと暖かいもので心が満たされていくのを感じる。

ハリーはグリフィンドール塔にたどり着き、太った婦人の肖像画を通り抜けグリフィンドールの談話室に足を踏み入れた。そこにいるのはまだホグズミードに行けない1、2年生と、飽きるほどホグズミードに行った上級生達だった。

なんだか居心地の悪さを感じながらも談話室に入ると、コリンが駆け寄ってくるのが見え、ハリーは身構える。

「ハリー！ハリー！どうしてホグズミードに行かないんですか？よかったら僕たちと一緒に座りませんか？」

コリン・クリービーはいつもこの調子だった。
ハリーは逃げるように回れ右して肖像画の穴に戻る。

「あーありがとうコリン。でも僕……図書室に行かなくちゃ。やり残した宿題があってね。」

咄嗟にそう言ってしまった手前、図書室に向かうしかない。仕方がなく図書室のほうに向かっていると、ハリーの耳にはルーピンの声が聞こえてきた。

「ハリー？」

ハリーが声のする方向を振り向くと、扉の開いた部屋の向こうからルーピンが顔を出している。

「ちょっと中に入らないか？」

ハリーはルーピンの部屋に足に踏み入れた。部屋の隅には大きな水槽があり、見たこともない生物がガラスに顔を押し付けている。

「次の授業用の水魔だ。」

ハリーは興味深そうに水槽を覗いた。鋭い角を生やした不気味な生物だった。

「紅茶はどうかな？」

「いただきます」

ハリーのぎこちない返事を聞いてルーピンは杖でヤカンを叩く。ハリーは興味深そうに部屋を見回して、ルーピン先生の示す椅子に腰掛けた。ルーピンはキラキラと輝く瞳でハリーに視線を向ける。

「すまない、ティーバックしかないんだ。しかしお茶の葉はうんざりだろう？」

(ルーピン先生は占い学で起こったことをご存知なんだ！)

ハリーは驚いてルーピンを見た。

「…先生はどうしてそれをご存知なんですか？」

「マクゴナガル先生が教えて下さってね。気にしてはいないだろうね？」

紅茶を淹れながらルーピンは答える。