【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ25)

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「ハリー…」

「大丈夫だよ、A。ハリーもああ言ってたし、僕らで楽しもう。」

そう言って気持ちを切り替えるロン。私たちはフィルチ先生のチェックを受け、吸魂鬼の警備を抜けてやっとホグワーツの外に出る。

「あっちだよ。」

ロンが指差す方向には、心を躍らせた生徒たちが列を作りホグズミードを目指していた。私たちもその後ろに続く。

「やっぱりハニーデュークスは外せないし…ホグズミードといえば三本の箒だ。」

ロンの一押しやハーマイオニーが調べて来たホグズミードの歴史を聞きながら町を目指す。

そして到着したホグズミード。そこには幼い頃に読んだ絵本のような風景が広がっていた。マグルの世界ではなかなか見ない街並みの中を、これまた珍しいマントやローブを纏った魔法使い達が歩いている。

「わ、見てあれ。」

ふと空を見上げると、箒に乗った魔法使いが空を飛び回っていた。店の並ぶ道路の脇には楽器や雑貨がいくつも宙を浮き、音色を奏でながら店の宣伝をするために列を作っている。

「すごい…」

街を歩いているだけでワクワクした。
初めてダイアゴン横丁に足を踏み入れた時の興奮を思い出し、隣にハリーがいないことに少し寂しさを感じる。

町を歩いている途中、ロンが賑わうお店を見つけて言った。

「あそこがハニーデュークスだよ。」

彼の指差す店からは、店の外まで甘い匂いと賑わいが溢れている。バターたっぷりのチョコレートブラウニーのような…そんな甘ったるい匂いを嗅いだ瞬間、ハリーへの申し訳なさはすっかりどこかにすっ飛んでしまった。ロンもハーマイオニーも同じだったらしい。私たちは一目散にお店のドアノブに飛びついた。

店内もホグワーツの生徒たちでいっぱい。店中に甘い匂いが充満し、目を引くお菓子たちが棚にぎっしりと並んでいる。私は近くの札を声に出して読んだ。

「これは…フィフィ・フィズビー…？」

「僕、そのキャンディ知ってるよ。舐めてる間、体が浮き上がるんだ。」

私の声を拾ったロンが教えてくれる。

「浮くの？へえ、ほんと？面白そうだね…いったいどんな味なの？」

「うーん、とりあえず食べてみてよ！」

ロンはニヤッと笑ってそう言った。
どこか双子の面影も感じるその笑顔に、血の繋がりを感じて笑ってしまう。