【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ24)

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「杖をみてもらったらどうかな？見た目は問題なさそうだけど……どこか壊れてたりするかもしれない。僕も新しい杖にしてから調子いいんだ。」

ロンは去年やらかした呪文逆噴射の話をいくつかしながら、私を席まで引っ張った。

「それに君が元々呪文が上手かっただけで、君みたいな失敗をしている奴は山ほどいるよ。この前の変身術は僕も出来なかったし…何よりネビルに比べたらまだまだ君は上手な方さ。」

彼に手を引かれてみんなと一緒に席に着く。近くにいたネビルが不思議そうに首を傾げた。

「僕の話？」

グリフィンドールのテーブルでは、ハーマイオニーがホグズミードに行けないハリーのことを慰めているところだった。ハリーはいつも通りをよそおっているみたいだけど、すっかり気を落としているのが気配で分かる。

「…やっぱり私も残ろうかな…別に行かなきゃいけない理由もないし…」

「いいんだよ、A！本当に僕のことは気にしないで。君が残ったら嬉しいけど…本当に申し訳ないよ。」

ハーマイオニーは気の毒そうに言う。

「ああ、ハリー…ハニーデュークスからお菓子をたくさん持ってくるわ。」

「うん、たくさん。」

このところ、ハーマイオニーとロンが言い争っているところしか見ていなかったが今回ばかりは違うらしい。二人もホグズミードに行けないハリーの落胆っぷりを見ていられないのだろう。

…それにしても、どうしてハリーはホグズミードに行けないんだろう。先生達はハリーの事情を考慮して柔軟に対応してくれそうだけど…やっぱりハーマイオニーの指摘通りシリウス・ブラックを警戒しているのだろうか。日刊予言者新聞は相変わらずブラックの目撃情報ばかりだし…。

私は包んで持って来たお菓子をポケットから取り出した。

「ハリー、良かったらこれ…この前作ったクッキーなんだけど。良かったら食べて。」

「え、君の手作り？」

「うん！」

少しハリーの表情が明るくなったかも。
こんなたった一袋のクッキーじゃ、何の慰めにならないかもしれないけど…少しでも気が晴れたらいいな。ハリーは嬉しそうに微笑んだ。

「ありがとう…！」

「こりゃハニーデュークスのお菓子なんて必要ないかもな。」

ロンがハーマイオニーに耳打ちしていた。

その後、ハリーは落ち込みながらも私たちを玄関ホールまで送ってくれた。

「ポッター、吸魂鬼の側を通るのが怖いのか？」

ドラコがすかさず大声で投げかけてくる。
聞き流すハリーに代わって睨んでやると、ドラコは一緒怯んだようだった。

「僕のことは気にしないで楽しんできて。パーティで会おう。」

ハリーはみんなに背を向け、1人で去って行ってしまった。