【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ22)

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「それはいいね。」

「まだまだあるから先生にも後であげますね！」

スネイプ先生が咳払いをし、ルーピン先生は申し訳なさそうに一歩下がった。

「それは楽しみだ。では私は失礼するよ、セブルスの視線が痛いからね。」

スネイプ先生を振り返ると、ルーピン先生を険しい顔で睨みつけていた。まだまね妖怪の件を根に持っているのだろうか。なかなか根に持つタイプらしい。

ルーピン先生は苦笑しながら去っていった。

「さて、呪文の練習に移りますぞ。」

スネイプ先生は食べ終えた食器を一瞬で片付けると、魔法の練習用の的を出した。私は立ち上がり、しっかり指輪がはまっていることを確認して杖を握る。

「さあ、呪文を。」

スネイプ先生の合図で私は杖を振った。

「ウィンガーディアムレヴィオーサー！」

しっかり的を狙ったはずが、狙いをずれ隣の棚にぶつかった。魔法薬やその材料が並んだ大きな棚が、そのまま天井近くまで浮き上がる。

「あっ…」

そのうち小瓶の一つが落下して大きな音をたて割れた。
黄色の液体が床に広がっていく。

「すみません、マートラップ触手液が…」

「気にしないでいい、集中しなさい。」

スネイプ先生は黙ってそれを片付けた。その後も何度か試したが、成功率は3割ってとこだ…この調子じゃいつになってもまともに呪文が扱えない。

「そう落ち込むことではないだろう？この状況は指輪の影響であり君に問題はない…」

「そういう問題じゃないんですよ…指輪をつけたまま魔法が使えなきゃ…」

私には指輪を外すという選択肢はなかった。見たくもないものを見てしまうぐらいなら魔法の使えない人生でいい。

…

呪文を的に当てる練習を終えると、私は次の教室に向かっていた。ついつい時間を忘れて熱中してしまったようだ。のんびりしていると授業に間に合わない。

地下への階段を駆け上がっていると、ちょうど曲がり角で階段を降りてきた人影が現れた。私は避けきれず彼らにそのままぶつかってしまう。

「ごめんなさい！」

私は反射的にそう叫び、後ろに下がった拍子に階段を1、2段踏み外した。バランスを崩し身体が後ろに落ちていく感覚に、頭が真っ白になる。

「おい！」

だが、誰かが私の肩を掴んでくれたおかげでなんとか踏み止まる。私は慌てて散々迷惑をかけた相手を見上げた。

「あ…えっと、ごめんドラコ…」

相手がドラコだと気づいて沈黙した…なんだか久しぶりに目を合わせた気がする。

「……」

後ろにはクラッブとゴイルもいた。いつものように三人並んでいる。彼らは私に勢いよくぶつかられたにも関わらず、少しもブレずにそこに立っていた。

「怪我は？」

ドラコがただそう言った。