【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ3)

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「さあ、ついた。」

ちゃんと“寮まで送る”という約束は果たしてくれたらしい。ジョージは少し名残惜しそうに手を離してくれた。

「えーと、一応ありがとう。色々言いたいことはあるけど楽しかった。」

寮の前で振り返ると、彼は何か言いたげに私を見下ろしている。返事がないことを不思議に思いつつ、なんとなくジョージの目を見返していると、彼は気まずそうに口を開いた。

「ところで、だけど…ディゴリーとあんな所で何をしてたわけ？」

「え…？えっと、探し物の手伝いをしてくれて。」

なんと言えばいいのか分からず曖昧に濁すと、ジョージは不満そうに再び羊皮紙に目を落とした。

「なるほど、僕らは頼りないって？」

「いや、そんなこと…ただセドは同じ寮だし…」

「ふうん、そうか。」

ふとジョージは私の頭に手を伸ばした。思わず私はびくりと肩を揺らして身構える。

「これは僕らを頼らなかった罰だ。」

頭をジョージに押さえられたまま、顔を近づけてきたかと思うと、次の瞬間、頬に彼の唇が触れた。

「じゃあね、A。おやすみ。」

ジョージは軽く声をたてて笑う。
そして「しまった、フレッドの奴、マクゴナガル先生に捕まってる」と言って慌ただしく去っていた。

「……ん？今、キス…され？」

慌ててほっぺを押さえると、まだジョージの唇の感触が残ってるような…やっと状況を理解して、少し遅れて熱が顔に登ってきた。

「A…？」

セドリックの声。

「う"あ"あ"！！？？」

とんでもない声を出して振り返ると、セドリックが私の背後に突っ立っていた。

「い、いつからそこに…！？」

「えっと、ジョージが…帰る、ちょっと前だけど。」

それって見られてた？

「…あの、セド……えっと、」

「どうしたの？廊下は寒いだろ、ずっとここにいたら風邪引くよ。」

セドリックはそう言って微笑んだ。
よかった、いつも通りだった。

「う、うん。」

セドリックと一緒に談話室に戻ると、ハンナが暖炉の前で教科書を開いて待っていた。

「おかえり、遅かったわね。」

ハンナは私とセドリックを交互に見ると微笑む。

「もう遅いから二人とも早く寝るんだよ。」

セドリックはそう一言残すと、自分の部屋へと上がっていった。私の顔がどうなっているのか分からないが、ハンナはニコニコと楽しむような表情で私を見ていた。

「それで、そんな真っ赤になって何があったの？」

「私、真っ赤…？」

「ええ、誰がどう見ても。」

私は慌てて顔を押さえた。
そんな顔を見たセドリックが何も言わないはずがない。いつもなら風邪や熱を疑って心配してくれる。

…ああ、もう、絶対見られてた…！