【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ19)

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「いたっ！」

大きな猫に突進され思わずふらつくと、その隙にスキャバーズは私の腕の中から飛び出し、薄暗い廊下の奥へと慌てて走っていった。

そしてそれを追いかけるクルックシャンクス…

「ちょっと待ってよ！！」

私も必死に彼らを追いかけた。これが噂の…ハーマイオニーとロンの論争を思い出す。…確かにあれじゃスキャバーズがちょっとかわいそうかも。

廊下の突き当たりまでいくと、スキャバーズがうまくクルックシャンクスを避けUターンして帰って来る。私はチャンスを逃すまいと、再びスキャバーズを捕まえた。

「よし、大丈夫だよ。」

獲物を奪われたクルックシャンクスは、じっと目線でスキャバーズを追いかけたままそこに立ち止まった。猫とネズミだとはいえ、どうしてそんなにスキャバーズに執着するんだろう。

「あれ、何してるんだ？こんなところで。」

そこに現れたのはフレッドだった。

「フレッドこそ、1人で珍しいね。」

「この前の罰則だよ、ホグワーツ中のトイレ掃除をやらされるところだった。」

「やらされるところだった…って…」

まあいいや、詳しく突っ込むのはやめよう。

クルックシャンクスはスキャバーズに狙いを定めながらも、ひとまず落ち着いたようだった。伸びをして私の足元に座っている。

「ロンのネズミとハーマイオニーの猫か。」

「うん、さっきそこで追いかけっこしてるのを見つけて…寮に送り届けようと思ってたんだけど。」

「そういうことなら手を貸すよ。」

そう言ってフレッドはクルックシャンクスを抱き上げる。

「まったく、また部屋を抜け出してたのかい？」

「どこかの誰かさんみたいに抜け道を知ってるのかも。」

フレッドはそれを聞いてニヤッと笑みを溢した。

「そうだ、ちょうど良い。グリフィンドール寮までの早道を教えてやるよ。」

そう言ってフレッドが駆け出したが、何歩か進んだところで立ち止まった。

「ここが抜け道？」

近くにあった鎧の裏を覗き込む。

「…いや、やっぱりやめだ。大人しくこの長〜い階段を登ろうぜ。」

「ええ、教えててくれてもいいのに。」

「君が毎晩会いにきてくれるって言うなら教えても良いけど。来てくれるか？」

「そんなことしない。」

「そりゃ残念。」

フレッドは私が持っていた小さな包みに目を向けた。

「それは？なんだか良い匂いがするな。」

「流石よく気づいたね。クッキーだよ、さっき私が作ったんだよ。」

「君が？」

フレッドは目を丸くした。

「うん、少し食べる？」

「ああ、お菓子は大好きだ。」

「ハニーデュークスのお菓子と比べないでよ。」

「勿論、」

そう言ってフレッドはパカっと口を開いた。