【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ17)

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「あいつは次々とその血を継ぐ者を見つけ出し、まだ子供が生まれたばかりの夫婦も勿論、例外なく襲った。」

その夫婦って…

ルーピン先生は顔をあげて私を見る。
その視線に私の胸がギュッと締め付けられた。先生がこの話をするのに戸惑っていた理由を理解する。

「君のご両親を、我々は救えなかったんだ。」

「……」

私は当時の状況も何もわからないけれど、ルーピン先生が責任を感じることじゃないのは分かる。

「そうだったんですか……」

「正直、君に合わせる顔がなくてね。その後君を引き取ってくれた…コンフィエ…彼も失ってしまって…そう、結果的に君もひとりぼっちにしてしまった…」

ルーピン先生は言葉を途切れさせた。
なぜそこまで苦しそうに話すのか。彼の心を苦しめているのは、私の両親を助けられなかったことだけじゃなさそうだ。

「別にそれを聞いて先生を責めたりしませんよ。正直、両親のことは覚えていないし…」

むしろ私は嬉しかった。
私の両親を知ってる人にtやっと出会えたのだから。

「せめて、もう少し我々の到着が早ければ…君は彼らと一緒に過ごせる時間が伸びたかもしれない。」

先生は私が両親ことを何も知らないこと自体が哀れだとでもいうように呟いた。もっと詳しく話を聞きたいけれど、そんな表情をされては聞きにくい…

「私の両親は…どんな人、ですか？」

なんだか口が乾いて上手く声が出なかった。

「残念だが…話をしたことはないんだ。一度だけ手紙を交わしてね。君のことをとても大事にしていたよ。」

「そうですか…」

顔も知らない両親のことなどどうでもいい。
そう思っていたけど、今になって初めて、実の両親の存在をそばに感じる。この世にレーヴなんて一族、本当は居ないんじゃないかと思うこともあった。だけどやっぱり、ちゃんと実在してたんだ。

「先生、話してくれてありがとうございます。あの犬のことは…忘れます。」

正直、目の前にあの犬がいたら無視できる自信はない。だけど、ルーピン先生がそこまで言うのならば、よっぽどあの犬が危険なのだろう。

それに、わざわざホグワーツのパンを持って行かなくても、この辺りは餌をいくらでも捕まえられるはず。

「少なくとも追いかけたり、探したりはしません。」

「ありがとう、そうしてくれ。」

教室を出る。
まさか、ルーピン先生からそんな話を聞けるとは思っていなかった。

両親のことを考えてみる…

目を閉じるとレーヴ家を殺害して回ったヴォルデモートの記憶が蘇った…ああ、この子の記憶の中の人達…きっとここに、実の両親の姿があるんだ。