【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ16)

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ルーピン先生は私を連れて近くの教室に移動した。しんと静まり返ったその教室には、暇を持て余したゴーストたちや、大騒ぎのピーブズの姿もない。

肖像画の人物が、かすかに寝息を立てている音が聞こえてくるだけ。

「……」

先生は部屋に着くと、困ったようにため息を漏らした。
対峙した先生の様子を見るに、どうやら怒っている訳ではないようだった。

「…どうしてもあの犬が気になるかい？」

しばらくの沈黙の後、ルーピン先生がポツリと呟く。

「はい…あの犬はなんなんですか？先生はご存知なんですよね？」

私は遠慮がちに頷いた。怒られると思ったのに、先生の方が自責の念に駆られたような顔をしているのだから困惑する。

「ああ、恐らく見当が付いているよ…そしてできることなら、見当違いであって欲しいと願っている。」

「もし…もしレーヴと何か関わりがあったら…」

「何度も言うがそれは無い。」

即答するルーピン先生。

「先生は、レーヴの何をご存知なんですか？」

誰もレーヴのことを断言できるはずがない。

「どれも少し…私には話しにくいんだ。」

そうは言われても正直私は納得出来ない…
そんな私の不満を感じ取ったのか、ルーピン先生は覚悟を決めたように頷く。

「わかった…こうしよう。君が知りたがっていることを一つ教える。その代わり、あの犬を探したり、近づいたりしないって約束してくれるかい？」

「……私が知りたがってることを一つ？」

最初はうんと怒られると思ったけど、先生は穏やかにそう言った。

「ああ、なんでも聞いていい。私はそれに対して、包み隠さず話すよ。」

ルーピン先生に聞きたいことは…そりゃたくさんあるけど…

なぜそこまであの黒い犬を危険視しているのか、とか。
レーヴのことを知っていたのはなぜか、とか。
それらを私に隠そうとする訳、とか。

「…じゃ、じゃあ。先生とレーヴの関わりについて聞いてもいいですか？」

私がそう告げると、ルーピン先生は小さく息を吐いて、教室の真ん中にある机に腰掛けた。

「…分かった、いいだろう。私は以前とある組織に属していてね。ヴォルデモート卿に対抗するために作られた組織だ。」

私はまず、“ヴォルデモート卿”その名を躊躇わず口に出したことに驚いた。ルーピン先生は俯いたまま小さく息を吐く。

「そこで私はある任務に…あたってね。襲撃を受けたレーヴ家に応戦し、彼らを守ることだった。」

言葉を必死で繋げる先生の声。
私は息を呑んだ。

「レーヴ家の？」

「君たちは特別な力を持っていて、それをヴォルデモートは利用しようとしていた。知ってるよね？」

「はい。」