【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ15)

今日:37 hit、昨日:144 hit、合計:18,042 hit

【7-5】ページ15

……

「それで僕らの名前を出した訳？」

次の日の朝。
またどこからか双子が現れはしないかとビクビクしながら食事をとる。

「ごめん、ロン。ハーマイオニーと2人で回るつもりだった？」

「いや、別にいいけど…さ。」

珍しくロンが1人だった。
ハリーの前でホグズミードの話をするのは気が引けるからちょうどいい。

「…そうだ、もう一個相談があるんだけど…。」

背後に注意しながらうんと小さな声を出す。

「なんて？聞こえなかったよ。」

牛乳入りのオートミールを頬張るロン。
私はもう一度言った。

「ジ、ジョージにキスされて…」

「…兄貴がキス！！？」

「ロン、声が大きいよ！！」

口から牛乳を溢しながらロンが叫んだ。

「ほっぺにだけど…そのせいでどんな顔して接すればいいのか分からなくて…それもあって断ったの。」

「……はあ、」

「聞いてる？」

「……いや、多分聞いてない。」

口と目を見開いたまま、私の話に返事をよこすロン。

「ジョージって、あのジョージ？フレッドとジョージのジョージだよね？」

「そうだよ。揶揄われただけなのは分かってるけど、流石にやりすぎじゃない？」

「…とんでもないな。」

ロンはそう吐いてミルクを飲み干した。

「なんの話？」

ハリーたちがやってきて、ロンが慌てて咳き込んだ。

「ちょっと大丈夫？」

ハーマイオニーが言う。

「…あー、私もう行かなきゃ。」

「もう行くの？もう少しゆっくりしていればいいのに。」

「ありがとう、ハリー。でもやらなきゃいけないことあるから行かなきゃ。また後でね。」

私は朝食のトーストで作っておいたサンドイッチを持ち、席を立つ。ロンには「秘密だ」と目線で釘を刺しておいた。

「Aとなんの話をしてたの？」

ハーマイオニーの問いに、ロンが慌てて返答しているのが聞こえてくる。

「ほ、ほら…占い学の宿題について…」

「占い学で宿題出てた？」

……

例の隠し通路を通って外に出る。
と…そこにいたのはブラックではなくルーピン先生だった。

「やあ、おはよう。」

「あ…おはよう、ございます。」

頭が真っ白になる。
先生の視線を感じて、私は慌てて持っていたサンドウィッチを背中に隠した。

「ここで朝食を…って訳でもないよね。」
　
じっと見透かしたような視線が胸を貫く。

「私が言ったことは聞いて貰えなかったみたいだね。」

「…ご、ごめんなさい。」

「話は後で。さあ、校舎に戻ろう。」

普段優しい人に限って怒ると怖いんだよな…
私は緊張しながらルーピン先生の後を追う。