【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ12)

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「じゃあまた声をかける。」

視線を感じて振り返ると、アーニーとハンナがこちらを向いていた。

「…何ニヤニヤしてるの？」

2人の考えていることはお見通しだった。

「私、授業の支度してくる…！」

私は逃げるように自室に向かった。
教科書と無くしてしまった指輪の代わりに、棺の指輪を引っ張り出す。

早速こっちの指輪の出番が来るとは思わなかった。
もっと大事にしないと…この指輪まで失ってしまったら、レーヴの力を制御する術がなくなってしまう。

……

「ハリー、どうしたの？なんだか元気ないね？」

退屈な魔法史の授業。
ビンズ先生が暗号のようにぶつぶつと話をしているのを聞き流していると、暗い顔をしているハリーが気になった。

ビンズ先生は生徒が眠っていようが、コソコソ喋っていようが気にしない。ハリーはチラッとこちらに視線を向けると小さく首を振った。

「なんでもないよ。」

「ハリーはホグズミードに行けないんだよ。ほら、マグルの叔父さんがサインをくれなかったから。」

ロンが言った。

「…あ、そっか。それは…残念だね。」

ビンズ先生の話を熱心に聞いていたはずのハーマイオニーが口を挟む。

「その方がいいわ、ブラックが捕まるまで、ハリーは校内にいた方が安全よ。」

「ブラック…？シリウス・ブラックのこと？」

首を傾げると、ハーマイオニーはハリーを振り返って言った。

「あなた…Aに言ってなかったの？」

「あー忘れてた…」

「ブラックはハリーをねらって脱獄したんだよ。」

ロンに教えられ、私は授業中だと言うことを忘れて大きな声を出した。

「えっ！？」

「おや、どうしたのかね？」

さすがにビンズ先生が振り返り私を見た。私は慌てて誤魔化す。

「あ…すみません。当時の出来事が…とても興味深く……ええと、静かにします。」

ビンズ先生は不思議そうに首を傾げ、授業を再開する。
ロンが吹き出すのが聞こえた。

「ごめん、君が心配すると思って…」

ハリーが申し訳なさそうに小さな声を出した。
かの脱獄犯シリウス・ブラックがハリーを狙ってるだなんて…厳重なホグワーツの警備に納得してしまう。

…

昼寝の時間…ではなく、魔法史の授業…が終わると、今度は呪文学。相変わらず指輪をつけたまま魔法を使うのには慣れなくて、今回もハンナの教科書まで灰にするところだっった。

「ご、ごめんハンナ…」

「大丈夫よ、誰にでも失敗はあるもの。気にしないで。このあとは…セドリックと約束してるのよね？」

「うん…」

気にしないでとは言っても、いつまでもこの調子じゃ…
焦げた教科書をフリットウィック先生に直してもらう。