【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ11)

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【7-1】両親を知る人ページ11

朝が来ると、私は誰よりも早くベットから飛び出した。まだ人気の少ない大広間で、真っ先に朝食を食べる。ルーピン先生にはあの犬に近づくなって言われたけど…私はパンにソーセージを挟み、それをナフキンに包むとポケットに忍ばせて先生達に見つからないよう、一直線にあの隠し通路へ向かった。

指輪を探すためと、ブラックにご飯をあげるため。

「多分、この辺りに…」

杖を使って薄暗い道を照らし、慎重に歩いて探した。
絶対ここで落とした…はず。そんな確信は徐々に揺らいでいき、結局、指輪は見つからなかった。

私は諦めて、何往復も指輪を探した通路を進み、外に出た。しかし、例の木の影にブラックは居なかった。全部無駄骨に終わったな…そう思いつつ、戻ってくるかもしれないと、パンは置いていくことにした。

普通じゃない犬
死神犬

ルーピン先生が間違っているとは思ってない。
でも、あの犬はレーヴに関係する何かで、レーヴについてなにか新しいことを見つけられるかもしれない…そんな期待はすぐに手放せなかった。正直なところ、彼は私に何かを隠しているような気がしてならない。

あの犬に何があるって言うんだろう？
あの子が本当に死神犬で近づくと命の危険があるから？
だとしてもあの犬自体に罪はない。何より、あんなに弱ってしまっている犬を見て見ぬふりはできないじゃないか。

指輪は見つからず、ブラックにも出会えなかった。私はがっかりして寮に戻る。

「あれ、みんなお揃いだね。」

授業の準備を終えたセドリック達が談話室で話をしていた。

「A、やっと帰ってきたのね！」

と、ハンナは少し怒っているようだった。
アーニーと顔を合わせ、ため息を溢している。

「えっと、おはようハンナ…心配かけてごめん。」

そういえばハンナに顔を合わせるのは、昨日の放課後以来か。ルーピン先生もハンナが私を気にしてるって言ってたし…声もかけず申し訳なかったな…

「大丈夫ならいいんだ。」

セドリックがそう言って微笑み、ハンナとアーニーも頷いた。

心配したと言いつつも、ハンナもアーニーも私のこういう行動には慣れ始めたのか、私がピンピンしていることを確認すると、2人で次の授業の予習に入っている。

私はセドリックに目を向けた。
彼は目が合うと小さくはにかむ。

「そうだ、今日の放課後は時間ある？」

「今日…？うん、時間はあるけど…」

「一緒に例の部屋に行こうかと思って…」

フィガロの日記を調べる。
無くした指輪を探す。
黒犬ブラックの様子を見る。

やりたいことは山ほどある。
勿論、あの部屋を調べるのもそのうちの一つだ。

「誘ってくれてありがとう、勿論行くよ。」