【ハリポタ】胡蝶の夢を見る9 (ページ1)

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【6-1】普通じゃない犬ページ1

窓の外はもうすっかり暗くなっていて、星空が見える。
糸のように細く、儚げな三日月だった。

「さあ、おいでよ。」

フレッドは箒を持って窓から顔を出した。

「フィルチさんが来るかも。」

「あいつなら地下を彷徨いてる。」

「そ、そう？でも、ここが何階だか分かってるの？もし落ちたら…」

フレッドは早速箒に跨っている。今にもそのまま窓の外へと飛び出していきそうだ。

「僕らの腕を疑ってるのか？」

「これでもクィディッチの選手だぜ。」

「いや、そういうわけじゃないんだけど…」

私は包帯でぐる巻きになった自分の腕を双子に見せた。

「こんな腕だし…」

二人のように片手で箒に乗ったことなんてないし、腕が使えないのに箒なんて乗るもんじゃない。マダム・ポンフリーが知ったらなんて言うか…

しかし、二人にそんなことは通じなかった。

「大丈夫さ、僕らに任せてくれ。」

戸惑っている隙にジョージに抱えられ、フレッドの前に降ろされる。

「二人とも本気？私、本来安静にしてなきゃいけないんだよ？」

「でももう大丈夫なんだろ？それに君は乗ってるだけでいい、大丈夫さ。」

「ああ、何も問題ない。」

フレッドはそう言って片手で箒を掴むと、もう片方の腕を私に回し、そのまま抱き寄せた。

「もっとこっちに寄ってくれよ。君を掴んで離すわけにはいかないだろ？」

絶対に落ちたくない私は、おとなしくフレッドに身を委ねる。フレッドにぎゅっと抱きしめられると、私は神に無事を祈りながら思わずこぼした。

「箒の二人乗りも自転車みたいに規制するべきじゃない…？」

「自転…なんだって？」

「あれだろ、マグルの乗り物。」

ジョージも箒に跨り準備万端。

「…なんでもないよ。」

「よし、準備オーケー？」

背中にフレッドがピッタリとくっついているのを感じる。
彼は私を絶対に落とさないんだろうけどやっぱり不安…

「全然オーケーじゃな…」

言い終わる前にふわりと箒が浮き、私たちはあっという間に窓から外へ飛び出していた。

「いっ！？ちょ、返事聞いてよ…！」

やっぱりクィディッチ選手はスピードが段違い。双子の箒は古いはずなのに…不思議だ。

ぎゅっとフレッドの腕にしがみつくと、彼はクスクス笑いながらも少しスピードを落としてくれた。おかげでやっと周りの景色を見る余裕ができた。

確かにここから見る景色はとても綺麗で…背後からジョージも追いかけて来ているのが見えた。