第53話 ページ7
Aside
私は、藤ヶ谷さんと──
裕太「ごめん。今日はもう、帰るね…。
また…来るから。」
また…なんて無いよ。
私が藤ヶ谷さんのところに行ったら、もう''また"なんて無い…
家族にだって、どんな顔して会えばいいか分からない…
でも、
もういいかな…
自分の本当の気持ちを伝えても…
感情に任せてみてもいいかな…?
そう思った時、私の足は勝手に動いていた
行く先は分かってる…
圭介を裏切ることもわかってる
それでも私は、走り続けた
.
走って走ってようやく着いた
ピンポーン♫
ガチャ((
インターホンを押すと、寝癖の着いた藤ヶ谷さんが出てきた
こんな寝癖のついたあなたでも、愛おしいと思っちゃうの…
.
太輔「え…Aちゃん?」
私は、藤ヶ谷さんに抱きついた
私「私、感情のまま動いてみることにしたんです。そしたら勝手に足が動いて…来ちゃいました
こうやって抱きついたのも、全部私がそうしたいって思ったから…」
太輔「うん」
私「藤ヶ谷さんが好き…ずっと会いたかった…」
太輔「俺も…俺も好きだよ。」
藤ヶ谷さんは私を抱きしめ返してくれた
私「全部失っても藤ヶ谷さんがいるならいいってそう思いました」
太輔「…逃げよっか?」
私「はい。」
太輔「どっか遠いところに行こ」
私「はい。」
藤ヶ谷さんとなら…
藤ヶ谷さんがいるならそれでいい…
太輔「荷物、まとめてくるね」
私「私も、1回家に帰ります。」
.
家に帰って来て、必要なものだけスーツケースに入れた
そして、帰り道に区役所で貰った離婚届を黒で埋めていく
ペンを走らせ、最後に印鑑を押した
これで、ほんとに圭介との関係は終わり
もう、この家に帰ってくるのも最後
離婚届の横に「圭介、ごめんね。離婚届出しといて下さい。今までありがとう。」っていうメモを置いといた。
.
ドアを開け、新たな世界に1歩ずつ踏み出す
そして──
貴方と
幸せになる
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作者名:のん | 作成日時:2018年7月8日 22時