55.寂しかった ページ7
どうも落ち着かなくて、おどおどしていると
背後から声がする。
「……なぁ」
『ん？』
.
.
「……………寂しかった」
腰に手を回され、首元に埋められる顔。
耳にかかる熱い吐息。
心臓が暴れ出す。
ふわふわの髪の毛がくすぐったくて。
私は何も出来ず、何も言葉を発せず
ただ棒のように立ち尽くすだけ。
「……んで」
『ん…？』
「なんで、平野なん」
胸にグサッとナイフが刺さったように痛くなって。
『………っごめん』
廉くんから離れる。
なんで紫耀って言われても、答えられない自分が嫌で。嫌でたまらなくて。
『私、もう帰るね、……』
ソファーに置いたバッグを取ろうと手を伸ばすと、その手をガッと掴まれ、驚いてハッと顔を上げた。
「帰らせへんから」
狂気。
『……きゃ、っ』
バンッと押される肩。
よろけてソファーに倒れ込んでしまって。
起き上がろうとするけど、それもつかの間。
固定される手首。
私にまたがる身体。
『……ちょ、っと、ゃめて』
抵抗しても、
その倍後からでもっと押さえつけられるだけで。
「嫌や。
平野と２人きりで会ったり、一緒に登校するのがいけなかったんやない？」
バレてたんだ。
もう、何もかも嫌だ。
『ごめ、ん……』
「許して欲しい？」
頬を撫でられて。
コクっと頷く頭。
「なら……、」
頬を撫でてた手は
いつの間にかぷっくりとした唇へと移動していて。
「抱かせて」
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作者名：真凜 | 作成日時：2017年8月10日 2時
