狂った時計 REN SHO II (ページ6)

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54.高層マンションページ6

目の前にそびえ立つのはいかにも高級そうな
高層マンション。

そのあまりの高さに、唖然としてしまう。

『こ、ここなんだ……。廉くんの家』

「まぁな」

いつも、通学中に紫耀とここ高級そうだね～って話してたのを思い出す。

エレベーターに乗ると、
案の定ボタンの数は驚くほどで。
廉くんが押したのは、このマンションの最上階。

やっぱお金持ちなんだ……。

* * *

「ん、入って」

半ば強引に部屋に入れられる。
部屋は真っ暗。廉くんがパチッと電気をつけると、隣に見えるのは花瓶に入ってる色とりどりのカラフルなガーベラたち。

玄関を見てみると、廉くんの靴らしきものしか置いていなくて少し違和感を覚えた。

『おじゃま、しま～す』

多分誰も聞こえない小さな声。

「適当に座っててええよ」

『はい、……分かりました』

リビングに行くと、
シックを基調にした部屋。
大きなテレビ。

とてもじゃないけどこんな部屋に住むのは
夢のまた夢だ。

そして、一番驚いたのは部屋一面に広がる大きな窓。そこから見える景色は今まで見たことないような綺麗な景色で。

思わず圧倒。

『あれ……、お母さんは？』

ずっと持っていた違和感。
どこを見渡してもお母さん、お父さんらしき人は見えない。

「おらんで」

『そうなんだ……ごめんね。聞いちゃって』

「大丈夫。気にせんといて」

親がいないなんて、一度も聞いたことなくて。
こんな広い部屋に一人、なんて寂しいだろうなぁなんて思った。