狂った時計 REN SHO II (ページ12)

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58.スーパーマーケットページ12

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「……玉ねぎと、ん？なんて読むんやこれ。
ひとまい？こんな野菜あるん？！」

目の前には、
携帯で検索したカレーのレシピの材料を確認しながらボソボソ何か言ってる廉くん。

ここはスーパーマーケット。
あの後、結局解放してもらえた。

けど、

* * *

ー「あ、一応言っとくんやけど

逃げ出そうとしても、無駄やからな。

AのどっかにGPS付いとるから、すぐ見つけ出せんで」

* * *

すっごい鋭い目付きで言われたから、
何も言えなかった。

これで、もし逃げ出したら？

きっと、凄いヤバいと思う。
じわりと冷や汗。

「なぁ、これなんて読むん？」

いきなり後ろを振り返ってそう聞かれる。

さっきのこと思い出してたから、一瞬息が止まりそうになった。
心臓がどっかに飛び出てしまいそう。

『……えっ、とね

これは、にんじん』

廉くんが見せてきた携帯の画面に映っているのは
〝人参〟の二文字。

てか、これも読めなかったの？

廉くんって頭いいはずだよね。
なんか凄い、イメージと違う。

「……は？！これ、にんじんって読むん？
普通に平仮名で書けや。ややこしいな」

またブツブツ言って歩き出す廉くん。
なんかその姿が面白くて、ふふっと笑ってしまう。

すると、私の笑い声に気付いたのか
また後ろに振り返る。

「笑うなや。
俺一応これでも料理できるんやからな」

『……おぉ』

ドヤ顔でそう言われたから、
どう反応したらいいのか分からなくて適当にリアクション。

絶対驚かせてやるからな

って宣言される始末。

なんか、昨日の廉くんが
どこかに行ってしまったみたい。全く面影が無くて、心のどこかでこれが本当の廉くんだったらいいのに。なんて思っている自分がいた。

考えてみると、廉くんのことは普通に今も好きだ。
ああいう事をされても、好きっておかしいかもしれないけど。でも、紫耀のことも好き。

この感情は、幼馴染として好きなのか恋愛感情なのか自分でも未だに分からない。

廉くんも好きで、紫耀も好きなんて

とことん私はズルい。

廉くんから、紫耀から貰ってる無償の愛を
私は受け止めきれなかった。

二人に返すことすら、今の私には無理だ。