3歩先の背中に触れたい (ページ8)

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「Aちゃん２番テーブルにオーダー聞いてきて欲しい！」

『わかりました！』

元々人見知り気味の私がカフェで接客なんてできるかなって不安だったけど、従業員のみんなは優しいし大好きなスイーツの香りに包まれながら働くのは楽しくて思った以上にすぐに慣れることができた。

*

「Aちゃん！」

バイトが終わって家に帰っていた所振り向くと少し息を切らしたテヒョンさんが走って来ていた。

『わっテヒョンさん！どうしたんですか？』

「えーこの前約束したじゃん！ラストまで入った日は俺が家まで送るって！」

『あれ冗談じゃなかったんですか！？』

「冗談じゃないって！ほらほら駐車場まで戻るよ」

強くないけどしっかりと意思を感じる手に引っ張られ私はテヒョンさんの後に続いた。

テヒョンさんはバイト先の先輩だ。今は美容師になるために美容学校に通ってるらしい。

初めて見た時は芸能人以上に美しい顔や人懐っこい不思議な性格に動揺しまくりだったが今はだいぶ仲良くなったと思う。

そんなテヒョンさんは何故かいつも私を気にかけてくれてここ二週間くらいはシフトが被っててラストまで一緒の日は車で家まで送って貰うこともあった。

この前送ってもらった時はこれからラストの日はいつも送っていくってふにゃふにゃした顔で言われるからてっきり冗談だと思ってた。