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「A!ちょっとトイレ行ってくる」

『私も行こうか?』

「いいの、いいの、あんたはそれにつかまって浮いていて」


いつまでも浮き輪に捕まっている私を茶化した後友人は颯爽と海を泳ぎ、あっという間に浜までついていた。

運動音痴な私はもちろん泳ぐことも出来なくて....
生粋のかなづちだから浮き輪は手放せなかった。


ぷかぷかーって何にも考えずに浮き輪と波に揺られながら空を見てたら、

「Aー!」

と手を振りながら、こちらに向かってくる友人が見えた時だった。


大きく身体が浮き輪ごと浮いたと思ったら、次の瞬間痛みにも似た衝撃に身体が包まれた。



息ができなくて、苦しくて、とりあえず海面に上がろうとしても浮き輪も手元になくて、もがいてももがいても沈んで行く気がする。


あっ、私死んじゃうんだ。



必死に動き続ける体とは逆にすっーと頭の中に死がよぎる。




こんな事だったら一度でもいいからグクに好きだって言いたかった。


意識が遠のく寸前、必死な顔で私に向かうグクの顔が見えた気がした。

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作者名:Marika | 作成日時:2022年1月29日 23時

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