3歩先の背中に触れたい (ページ17)

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「A、行くよー！！！」

『ちょっと待って！』

友人の待ちきれないような元気な声に絆されて、私は急いでラッシュガードに袖を通し更衣室を出た。

今日は、高校生最後のビッグイベント。
修学旅行で済州島に来ていた。
2日目の今日は集団行動で海水浴がメインイベントだ。

非日常のリゾート地で友人もクラスメイトも浮かれきっていた。

「A！まさかそれ着て行く気！？、私達10代だよ！日焼けなんか気にしないで脱いじゃないなよ！」

『私はこれでいいの！みんなみたいにスタイルだって良くないし.....』

「何言ってんのよ！あんたが意外と胸あるって知ってるんだから......」

私の胸元を見てニヤって笑う友人を半ば無視しながら砂浜を進む。

友人達はセクシーな水着を着る中、私はもちろんラッシュガードが必須だ。
クラスメイトだけじゃなくて、海水浴を希望した同学年がそこら辺に何人もいる中、肌を晒すなんてとてもじゃないけど無理だ。

「待ってよーグク君、」

「へウォン見てみなよ！めっちゃ海綺麗だから」

私達の少し前に、白いビキニを纏って惜しげもなく抜群のスタイルでグクの腕にしがみつくへウォンちゃんとたのしそうに笑ってるグクが見えた。

あれからグクとはほとんど喋ってない。
本当に義務的な学校の中の係とか先生からの伝言とかそんなことだけ。

今でも、変わらず二人を見ると痛む胸にずっと気づかないふりをしている。