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結局グクのことばっかり考えてたらあっという間に退勤の時間になってた。
グクたちはケーキとドリンクを頼んで、食べたと思ったらすぐに帰って行った。
グクの顔は怖くて見れなかったけどグクたちが座ってる席から視線はずっと感じてた。
仕事にも全然身が入らないし、本当に馬鹿みたい。
もっと強くなりたいって気持ちだけですぐに立ち直れるわけでもグクを忘れられるわけでもない。
でも、少しずつ少しずつでいいからグクを忘れたい。
「Aちゃんっ」
『わっ冷たいっ』
急に頬に伝わる冷たさに大きな声をあげればテヒョンさんが私の頬にグラスを当てたことに気づく。
『これ....』
「前にキッチンのキムさんにお店の特性いちごミルクの作り方教わったの。Aちゃんにあげる」
テヒョンさんは優しい瞳で私にイチゴミルクの入った冷たいグラスを渡してくれた。
『テヒョンさん......』
「こら、オッパでしょ?俺はAちゃんのオッパだから、辛いことあるなら言ってごらん?他の人はみんな帰ったしさ、いちごミルクでも飲んでゆっくり話そう?」
一口飲んだいちごミルクはとても甘くて、心が少しずつ解けていく気がした。
『.......オッパ、私辛いんです』
「うん、」
『私、グクが好きなんです。小さい時からずっと』
「.......うん」
『でもグクは私のこと好きにならないから、私の気持ちは絶対に叶わないです。そんなのは前から分かってるんです、分かってるけど今日みたいに彼女といる所を見たり、あんな風に怒られたりしたら私は弱くなっちゃうんです』
『私はグクのことが好きな私が嫌い。全然強くなくて、弱くて、ずるくて、カッコ悪い自分が大嫌いなんです、』
「Aちゃんは弱くないし、ずるくないし、カッコ悪くなんてないよ。ただ一人の男の子に恋してる可愛い女の子だよ」
『..そんな事ないです.........いつかグクへの気持ちを思い出にしたいです。グクの幸せを心から喜べるくらい優しくて強い人になりたい』
「そうやって思えるAちゃんはもう十分強くて優しいから、もっと自分にも優しくね?」
こんな風に誰かにグクへの気持ちを話すのは初めてだった。話し始めたら堰を切ったように次々と言葉が溢れて止まらなかった。テヒョンオッパの言葉は、初めて自分以外の誰かにグクへの気持ちを肯定してもらったような気がして心が少し軽くなった。
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作者名:Marika | 作成日時:2022年1月29日 23時