対処法96 ページ5
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コナン君は赤いスマホを操作すると、こちらに写真を見せてくる
「このストーカー。刑事さんだったんだね」
「さぁ? 知らないけど」
「安室さんがお姉さんの相談に乗ったのもわざとだったんだよね? だからお姉さんがストーカーに襲われるタイミングも分かったんだ」
「なんのことか分からないなぁ」
テンプレートの様に繰り返し、張り付けた人の善い仮面を盾にする僕に、コナン君は苛立ったように鋭い視線を突き刺した
「お姉さんのこと疑ってるからって、そんな事していいの?‥‥安室さんが守るべきものの中に、お姉さんは入ってないのかよ!?」
「‥‥君が僕に対してどんな考えを持ってるかしらないけど。僕の中にもね、線引きってものがあるんだよ」
コナン君は信じられないと言うような顔をしたあと、外れかかってた猫をかなぐり捨て叫んだ
「Aさんはまだ怯えてるっていうのに!?
あんた、一体何考えてんだ! つけ回されて脅されて、挙げ句のはてに盗撮された写真まで送り付けられてんだぞ!」
コナン君が投げつけてきた言葉
その中に何気なく紛れていた一つの文章が、僕の思考を一瞬ストップさせた
‥‥‥?
可笑しい。彼は、今なんと言った
「‥‥コナン君。それは違う」
「何がちがうんだよ! Aさんはまだ元気が無いって、お姉さんの同僚からも聞いて‥‥」
「だから、可笑しいんだよ」
さっきまで取り繕っていた事なんてもう忘れて、僕はソレを口にした
「だって
「‥‥‥は?‥‥」
その言葉は僕こそ言いたい。そんな事は報告に上がっていない
あの刑事がしていたのは、尾行くらいのものだ。写真という実物は手紙よりも実害にカウントされやすいから、万が一の可能性から鑑みても盗撮などしない。ましてやそれを送り付けるなど
「でも、だったら、なんで‥‥?」
二人はその時気が付いた
自分達が見逃していた、ある大きな過ちに
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『はァっ、 はぁ はあっ ハあっ、』
ありえないことが起こっている
八時をまわった暗い夜道を、無我夢中で逃げる
冷たい針のような空気が顔をさし、涙が滲む。背筋に冷水でもぶちまけられたのかと思う程悪寒が止まらない
頭の端を侵食したのは、あの日の夜の恐怖の残り火
再び地獄が始まっていた
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あ - 面白くて一気見した者です、もう更新されないんですね、この感じだと……。残念です (5月4日 12時) (レス) id: a4dff3124d (このIDを非表示/違反報告)
レモン - めちゃおもろいです!!夢主ちゃんの性格大好きです!更新楽しみにしてますっ! (12月12日 10時) (レス) @page43 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (11月14日 20時) (レス) @page43 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - イヤァァァァアオワッタ好きですで (9月18日 15時) (レス) @page43 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
猫目 - すごく好きです (7月15日 14時) (レス) @page43 id: 5daa8eb0a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんず | 作成日時:2019年12月28日 20時