先生、対処法を！ ２【名探偵コナン】

対処法５３ ページ10

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心配されてるのは痛い程に分かるが、俺を心配する暇があったらこの国のために働いてほしいと思う俺は駄目な上司だろうか


自分より年下の上司なんて嫌な筈なのに、とても良く支えてくれている彼には感謝している


少し優柔不断なのが玉に傷ではあるが


「‥‥分かりました。自分もサポートします。ちなみに、今日のパーティーで黒だった人間はいましたか？」


「メグレス社の接待役は黒だな。黒い組織と関係を持ってる。姉妹社のミザール社の秘書もだ。社長は白。あれは自分の会社員が後ろ暗い事をしてるのにも気がついていない。お人好しも考えものだな」


「分かりました。調べておきます」


「それから」

「？」


俺は手帳から一枚の写真を出す


信号待ちで車を停めた風見がそれを見た


「ホワイト・ローズ社の一ノ瀬 A。彼女の事も調べておけ。黒だ」


「！ この女性ですか‥‥？」


「恐らく黒の組織の幹部か、それに同等くらいの人間だ」


「黒の、組織の」



「コードネームにはあてがある。‥‥"エメラルド"だ。組織内で微かに耳にしたことがある」



エメラルド‥‥「エメラルド・ミスト」


透き通ったエメラルド色と、グラスをおおう冷気によるミストからついた名前


砕かれた氷を敷き詰めてあることから、とても冷えたカクテルだ



先程の駆け引きを思い出す


自分が送ったカクテルのうち、彼女が二回手をつけたのはあのカクテルだけ


それ以外のカクテルでも、送ったカクテルに対して応答を返してきた


彼女は、あの意味を分かってる


駆け引きに応じてきたという事は、少なからず俺が組織のメンバーだと気づいているということだ




俺が"安室 透"として過ごしながら"バーボン"として彼女に気取られないよう探りを入れるのは、難しい様に思う



コナン君はやたらと俺と彼女を引き離したがっていたが、それは彼が何かを知っているからなのか



それとも、騙されているのだろうか



どちらにせよ、探りを入れるのなら彼女の信頼を勝ち得なければならない



きっかけを作るのに策はある。女性に仕掛けるには倫理観が問われる策だが、相手が相手だ。容赦はできない





「‥‥‥こんなに穏やかそうな女性が組織のメンバーだなんて、悲しい事ですね」





風見は写真から目を離し、フロントガラスの向こうを見つめる



俺は苦笑した




確かに、真咲さんと笑っていた姿は、到底闇に生きるそれとは思えない






「‥‥ほんとに、考えものだな」




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