先生、対処法を！ ２【名探偵コナン】

対処法５２ ページ9

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「お若い男女のお二人でした。どちらも大層な美貌でしたよ」

「なんだ。カップルですか。だったら酒の席の恋仲を邪魔するのは野暮ってモンですよマスター」


「あぁ、いえ。そのお二人はカップルではないようでしたよ」


バーテンに言われ、客の男は驚いて息を吐いた



「はぁー！ じゃあ口説き落とす現場ってことだ！それは面白そうですねぇ。美男美女のカップルが成立する場面なんて滅多にお目にかかれないよ」


「そうなんですよ。面白くって。ですが、成立とはいかなかったみたいですよ」


「へぇ？じゃあ振られちゃった訳だ」


「随分と辛辣な選択をされてましたねぇ。あんなに綺麗な男性をこっぴどく振るなんて、罪な麗人もいたもんですよ」


バーテンの男性は面白い物を見せてもらったとばかりに笑う



＿＿＿＿しかし彼は気づいていなかった。それは大きな勘違いだということに



それが、鋭い探りの意味にきづかなかった憐れな女性のほんとうに"たまたま"な選択だったことに



そして、男が物凄い勘違いをしていることに



彼は、髪の毛の先ほども気づいていなかった




＿＿＿
"menu"


あ

イエロー・パロット

"騙されないわ"


エル・ディアブロ

"気を付けて"



か

クリス

"私を信じて"



コロネーション

"貴方を知りたい"



は


ブルームーン

"出来ない相談"




＿＿＿
＿＿


「降谷さん。ご苦労様です」


「悪いな、風見」


滑り込むように車に乗り込むと、風見はすかさず車を発進させた


シートにもたれるとネクタイを指で軽く緩め息をはく




どうにもあの手のパーティーの女性は苦手だ


香水の匂いのついてしまった服を少しはたき、本庁に帰ったら衣装課にまわしてクリーニングしようと決める


ベルモットも香水はつけているが、大女優と銘打たれたのは伊達ではない。男の気を引くラインの香りを熟知しているのがあの女だ


例えそうだとしても奴の香水がつくなんてごめんだが

「お疲れでしょう。書類整理は自分達がやっておくので、今日くらいは帰宅なさってお休みになっては‥‥」

「馬鹿を言え。潜入捜査をしながら報告書の提出を送らせるのは論外だ」

「しかし‥‥」

「安心しろ。自分の限界ラインはわきまえている」

「そのラインが自分達とはどうみても違うから心配になるのですが‥‥」

眉をしかめている風見には見てみぬふりを決めこみ、フロントドアの窓の向こうに目をやる

対抗車線を過ぎる車のテールランプが赤く尾を引いていた

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