対処法83 ページ40
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そのままぎゅうぎゅうと握りこんでくるその力は指が軋む程に強く、そして少し痛かった
「____言って」
真摯に、ひた向きに、真っ直ぐで。なのに少しすがるような声で、コナン君がそう言った
信じられないような気持ちで私はそれを聞いていた
「言って、Aお姉さん」
『‥‥‥私』
ごちゃごちゃ考えてた事が消え去って、私の中にただ一つの心が浮かぶ
『‥‥わ、たし。コナン君、わたし』
握ってくれるその手にすがり付く様に額を寄せて、ほとんど泣き出しそうになるのを歯をくいしばって必死に堪えて
コナン君が優しく私を見るのを感じたまま、私は
『わたし、実は、ストーカーされてて、』
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「それは大変ですね」
え
ひやり。冷たい物が走る
私の背後から、ベンチの背の後ろから、嫌というほど聞き慣れた声が降ってきた
しかし、その声をしょっちゅう聞いたのも前の世界でのことだ。この世界に聞いてからは、ほとんど聞いてない
あの日からは
「お久しぶりですAさん。あぁ、コナン君もいたんだね」
「あむろ、さん」
話は聞かせてもらったよ、という背後の声に。そして信じられないと言うように絶句するコナン君の表情に
私は振り向く事のできないまま、しかし何かマズい事になったと言うことだけをしっかりと理解し、背筋に一つ冷たい汗を流した
____
__
『‥‥‥』
「‥‥‥‥‥‥‥」
‥‥気まず過ぎてどうにかなりそう
現在何故か、もう二度と行けないだろうと思っていたポアロにいる
私の隣には、もはや猫かぶりという概念をかなぐり捨て、これでもかという程恐ろしい顔をしたコナン君が私の右手をしっかり握りしめていた
その事にいつもならパニくりまくって盛大に先生に感謝するところだが、今はほんっとうにそれどころではないのだ
汗が止まらない
「はい。お待たせしました」
目がつぶれるほどキラッキラと輝く笑顔を張り付けた安室さんが、テーブルにオレンジティーをおいてくれる。涼しげなグラスを鳴らす氷と添えられたオレンジ、ミントが美味しそうではあるが、恐怖のあまり喉を通る気がしなかった
コナン君の前にはアイスコーヒーが置かれた。確か彼はオレンジジュースを頼んでいたと思うんですが
「‥‥安室のにーちゃん。僕オレンジジュース頼んだんだけどなぁー?」
「あぁ、でも君はこっちの方がいいだろう?」
バチバチバチッ
両者の間に苛烈な火花が飛び散る。ピカ○ュウも驚きの電圧である
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オタク - 作品とても面白いです! もしかして作者はジョジョラー? 最後の終わりのところから思いました。 (2020年10月27日 1時) (レス) id: 5bcc3d1fdd (このIDを非表示/違反報告)
勇者のゆ - 先生…ほんと助けて…みてるこっちまでやばくなる (2020年10月1日 6時) (レス) id: 89c1acd712 (このIDを非表示/違反報告)
ライム(プロフ) - 一から読んでいてめっちゃ面白くて続きを読みにきました夢主ちゃんと安室さんのカクテルのやりとり面白いですねwww※ネタバレ注意「あなたを知りたい」『お断り』「私を信じて」『騙されない』「未来への挑戦」「気をつけて」夢主ちゃん頑張れ!w (2020年6月2日 13時) (レス) id: 51401b929b (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - この夢小説の文中(真咲さんのロッカー事情)で、薬屋のひとりごとの5巻のある会話と内容が似ていたので、もしや…?と思い聞いてみました( ̄▽ ̄)当たっててよかったです笑それと返信ありがとうございます(^^) (2020年1月8日 19時) (レス) id: 93a5426ba3 (このIDを非表示/違反報告)
りんず(プロフ) - 鈴さん» 鈴様、コメントありがとうございます!面白いと言ってもらえて嬉しいです! 薬屋のひとりごと、ねこクラゲ様のコミカライズは読んだことあります!面白かったです!え、なんで分かったんですか!? (2020年1月7日 23時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんず | 作成日時:2019年1月3日 17時