先生、対処法を！ ２【名探偵コナン】

対処法６８ ページ25

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昴さんは手に持ったれんげでお粥を掬うと、ふうっと息を吹き掛けた。優しい仕草。昴さん聖母説ここに立証されました(ｶﾝｶﾝｶﾝ)

悟りを開いた顔で私が拝んでいると、昴さんは寄せていた唇をれんげから離して、そのまま私に差し出した

「はい。どうぞ」

『‥‥??』

美味しそうなお粥がほんのりと湯気をたてている。そのれんげを持つのは男の人らしい美しい指先で‥‥?

『‥‥あっ、はい』

私がれんげを受け取ろうとすると、ひょいっと避けられた。なんで???

私が間抜けな顔でぽかんとしていると、昴さんは再びにこりと笑って、私の口元にれんげを持ってきた

「はい。どうぞ」

『わっつ??』

いやだって、これ、ねぇ?

俗に言う「あ〜ん」というヤツでは??

まさか昴さんにそんな桃色な行為をされるとはミジンコ程も思ってなかったので、私の頭は一瞬で沸騰してプチパニックを起こした

「気づいていないようですが、熱のせいで震えていますよ。そんな状態でれんげを持ったら、こぼしてしまうでしょう? 若い女性にこんな事をするのは少し抵抗がありますが、こればかりは仕方ありません。少々我慢してください」

『あばばばばばば』

昴さんにここまで言わせてしまった‥‥

『万死?』

「大丈夫ですか?」

『ｱｯﾊｲ』

私は昴さんの手を私ごときのために煩わせるより、覚悟を決める事を選んだ

恐る恐る震えるくちびるを開くと、ゆっくりとれんげが入ってくる。瞼をぎゅっと閉じながら、口をとじるとれんげが引き抜かれた

咀嚼する。そして一気にテンションがあがった

そのお粥はとても美味しかった。しじみの旨味がぎゅうっとつまっているお粥で、醤油からは生姜の香りがふわっとかおって、もう絶品だった

レトルトのお粥をあけて
『へっへっへ私だってお粥位作れるんだぜ』
とどや顔してた自分が恥ずかしくなってくるね!

悟りを開いた顔でもぐもぐ口を動かしていると、昴さんがお粥をたっぷりすくったれんげをもう一度顔の前に持ってきた

『え??』

「どうぞ?」

『昴さんもしやこれは』

「ええ。食べ終わるまでです」

『(死)』

＿＿
＿


(推しに『あーん』をしてもらえるという)天国と(粗相をしたらどうしようという極度の緊張と発作が起こりそうになる)地獄が終わった頃には私はもうくたくたになっていた

重い体をなんとかひきずり歯を磨いたりする。せめて後片付けは‥‥!と思ったのたが、「病人は速く寝る支度をしなさい」というお言葉によりとぼとぼ洗面所に向かった

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