先生、対処法を！ ２【名探偵コナン】

対処法５７ ページ14

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「いやほんと、大丈夫だってこの人疑うのが馬鹿らしくなるほどの善人だから」

「なに言ってるのよ！ 疑うのが探偵の仕事でしょ！ 貴方いつもいつもそこかしこに気を張ってて疑惑心の塊みたいなのに、なんで今回に限ってそんな平然としてるの!?」

とんだ言い種だった。オメー俺のことそんな風に思ってたのかよ。困った風に頭をかく。猫かぶりのない、高校生らしいだるさと戸惑いを残した仕草。探るのが探偵という仕事なのだから、今自分のやってることは不正解なのかもしれない。

正解なら、何時ものコナンのようにこの部屋を色々探って、出来るだけの情報を引き出すべきだろう。そしてそれを安室さんとの情報戦のカードにする


多分、それが、正解なのだろう



「‥‥でも、ムリだわ、やっぱ」

「なっ」

困惑に大きく見開かれた目を見て、鼻頭をかいた。照れ臭くて、こんな反応をしてしまう自分も恥ずかしくて

初めて彼女を見かけたときの記憶が頭を巡って、それから自分に語りかけてくれる嬉しそうな声や、抱き上げてくれる腕のたおやかさと静かな香りを思い出した


「すげー情けない話だとは思うんだけどさ、この人、多分俺の事大好きなんだと思うんだ」

「は、あ‥‥,!?」


いきなり語りだしたコナンに灰原はほとんど絞り出すかのような声を出した。混乱と少しだけ交じる怒りがとって見える。


「工藤君、あなた何言って」

「初対面の俺にほんと良くしてくれてさ。ガキの相手なんてめんどくせーだろうに、俺の話ほんと嬉しそうに聞いてくれんだよ。俺、途中から江戸川コナン演じてんの申し訳なくなっちまったくらい。俺には兄弟はいないけど、姉ちゃんがいんならあんな感じかもしれないって思った」


俺がその場の繕いで名乗った偽名を本当に大事そうに呼んでくれる、彼女を



「探偵とか、組織とか、そういうんじゃないんだよ灰原。そういうんじゃ、ないんだ。俺っていう人間が、Aさんの事を疑えねぇんだ。もしAさんが本当に悪人なら、この時点でこんなこと言っちまってる俺はもう負けてる」


「‥‥工藤、くん」



「この人のこと疑うのが正解なら、俺は大不正解でいいや」



ピリリリリ



コール音に、とっさにAを起こさないようにスマホを押さえたコナンは届いているメッセージを確認して灰原を見た


「悪ぃ！博士がスケボーの修理の件で話したいことあるみてーだからちょっと行ってくる！

「え!?」

「すぐ戻ってくっから！」


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