LVII ページ9
ア「玉ねぎはこうやって切ればいいのかい？」
グ「ばっ、なにやってんの！？
そんな振り上げ方したらまな板まで切れちゃうじゃん！！
てかその腕下せ！包丁をなんだと思ってるの？！」
ア「微塵切りとやらにしたんだけどどうかな？
それにしても目が痛くて仕方ないよ」
グ「なんで僕に聞いてくるの…
ちょっ…ボウルを持って寄るな！僕まで目が痛くなる！！」
空が茜色に染まる頃、モリアーティ家の別宅のキッチンには珍しく悲鳴にも似た大きな声が響いていた。
剥きかけのグレープフルーツを持ちながら猫のように威嚇をするグウェンにアルバートは笑みを深める。
ウ「兄さんがこんなに楽しんでる姿を見るのは久しぶりだな」
『ええ、ああやって眉を吊り上げているけれどグウェンお兄様も生き生きしているわ』
フェルディアはパイ生地を捏ねながら口角を上げる。
『いつも仮面を付けて過ごしている方ですもの。
あのように心から向き合える方が居るだけでお兄様がどれだけ助けられていることか…』
ウ「それはきっと兄さんも同じだよ。
兄さんがグウェン義兄さん以外にあんなに幸せそうに微笑む姿を見たことが無い。
お互いが心の拠り所になっているんだね。
…グウェン義兄さんはまだ気付いていないみたいだけど」
見ているこっちがもどかしいよ、と苦笑するウィリアム。
『そうね。
ねぇ……私はちゃんと貴方の心の拠り所になれているかしら？』
ウ「どうして？」
いつもより張りの無いフェルディアの声にウィリアムは野菜を切っていた手を止める。
『…だって私、他の女性より愛想がないしこれといった可愛らしい趣味を持っているわけでもないもの。
表情が変わることも滅多にない私に打ち明けにくいんじゃないかって、貴方に寄り添えているのかしらって…』
ウ「………」
フェルディアの問いにウィリアムは愚問だというように優しく微笑んだ。
ウ「当たり前でしょう？
今の僕があるのはみんなのお陰だけど、それよりも君が僕を支えてくれているからだよ。
側に居てくれてくれたお陰で諦めていた幸せを掴むことができた。
ありがとう、フェルディア」
『…っ……お礼を言うのは私の方ですわ…』
ウィリアムの眩しすぎる微笑みに耐えられず、フェルディアは赤面する顔を隠すように下を向いた。
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千夜(プロフ) - いあ様コメントして下さりありがとうございます！！そう言って頂けて感謝しかありません！優モリはどこを切り取ってもカッコいいところしかないので心臓が持ちませんね笑 (2022年7月29日 14時) (
レス) id: bbb60d0339 (このIDを非表示/違反報告)
いあ - 文章一つ一つが丁寧で分かりやすいし、凄い面白いです、大好きになりました！愛してます！憂モリは皆顔面偏差値高くてもはやしんどいですよねw (2022年7月28日 21時) (レス) @page7 id: c09dd7b5a1 (このIDを非表示/違反報告)
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