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あれから1時間弱経っただろうか。

私は自室の前にいた。


戻ってきた。階段を見つけられなかった。

なぜだ。


ドーナツ状のほぼ一直線の廊下で見落とすなんて考えられず、もしかしたら隠し階段になっているのかもしれないという考えに至る。

だったら怪しいのはあの2人と会った廊下の曲がり角だろう。しかしあの先は広いバルコニーで、外には出られたが階段はなかった。


やはり隠し階段か?




「どうしたん?」


「ぅおああ!?」


突然なにかに視界を遮られびっくりした。逆さまになった男の顔だと認識すると同時に、仰け反ったことで完治前の腰がピキリと痛む。
重力を無視し、天井から生えたその男は老人のように腰をさする私をみて笑い始めた。


「リアクション最高やん。おどかし甲斐あるなぁ」


軽やかに着地しニタニタ笑う姿は、あの有名な童話に出てくる猫にそっくりだ。長い前髪で隠れた目もきっと楽し気に細まっているに違いない。


「んふふごめんな?そんな派手に驚くとは思わんやん」

「大丈夫、大丈夫なんだけど、もし次があれば普通に出てきて欲しい…」

「普通?普通な?わかったわ」


なんだその含み笑いは。




「で、どうしたん?なんか探してたん?」


首を傾げるにならい緑のフードと柔らかそうな髪が揺れる。

突拍子もなく出てきた割には親身に話を聞いてくれるらしい。が、正直天井から登場してきたヤツに相談したくない。古来より天井から出てくるヤツは密偵か暗殺者と相場が決まっているのだ。

この建物にいる時点でそれなりの地位もありそうだし、今までの経験と雰囲気、カンというか、この人物と関わるのは控えるべきだと告げてくる。


はぐらかして怪しまれるのも嫌なのでとりあえず遠回しに聞いてみようか。


「えっと…聞きたいんですけど、ここってかなり高い階層ですよね?」

「どうなんやろ、数えたことないわ。でも建物自体そこらの城より高いと思うで」


確かに。私もこの城が無駄に高い建築物なのは知っている。さっきバルコニーから周りを確認したが、ここは乗り込んだ本城からシンメトリーに広がった建築物の一端らしい。
あの日、私が城から飛び降りた高さより多分倍以上高い所にいるはず。バルコニーから脱出するにしてもさすがに足が竦むのでできればもう少し下に行きたいところである。


「ちなみに…貴方が、」

「ゾム」

「へっ?……ぞむ?」


「俺の名前な。ハイ、りぴーとあふたみー」


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あまぎ(プロフ) - しおりんさん» gルさんの瞳の色が青や赤に変わるのに疑問を持ったセリフです!久しぶりに読み返しましたが描写の印象が薄くて分かりにくいですね…せめて分かりやすいセリフに変更しとこうと思います。また何か疑問があればコメントくださる嬉しいです!ありがとうございましたー! (2020年9月9日 3時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん(プロフ) - 11の『あ、れ?瞳の色が、』ってどういう意味ですか? (2020年9月9日 0時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ろん(プロフ) - う、うわあああ、、、、!!! そ、そんなに言ってい頂けるなんて、、、、!!!これからもあまぎさんの書かれるお話を楽しみにしております。 (2019年12月11日 10時) (レス) id: e80195a521 (このIDを非表示/違反報告)
あまぎ(プロフ) - ろんさん» 拝見した瞬間「え、うま…」とリアルで言いました。可愛っ!素朴で芯が通ってる雰囲気に清廉された可愛らしさがあり大変ヨロシオス!!!!!!!いいもの見せて頂きました。夢主ちゃんにはこれからも魔王軍に苦労して頂きます…頑張ろうな。イラストありがとうございました! (2019年12月11日 7時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
ろん(プロフ) - こんな感じで描いてみました。http://uranai.nosv.org/img/user/data/5/cye/5cee1e2d27d68efd0990e96722f9c62a.png (2019年12月10日 15時) (レス) id: e80195a521 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あまぎ x他1人 | 作成日時:2019年11月3日 20時

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